JETプログラム参加者 帰国歓迎レセプション

 

JETプログラム参加者
帰国歓迎レセプション
継続的な“架け橋”としての機会の提供強化を

 

ニューヨーク地区から派遣されたJETプログラム参加者たち(本紙)

 

日本クラブで10月10日、在ニューヨーク日本国総領事館と自治体国際化協会(CLAIR=クレア)主催によるJETプログラム参加者の帰国歓迎レセプションが開かれ、ニューヨーク地区から派遣された参加者らが日本での経験を語った。  

JETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme)とは、地方自治体などが総務省、外務省、文部科学省およびクレアの協力の下に実施している事業。海外の青年を招致し、地方自治体、教育委員会および全国の小・中学校や高等学校で外国語指導助手や国際交流員、スポーツ国際交流員として国際交流の業務と外国語教育に携わることにより、地域レベルでの草の根の国際化を推進することを目的としている。1987年の開始以来、78か国からのべ7万7000人以上が参加し、世界最大規模の人的交流プログラムとなっている。  

同プログラムに2021年から23年にかけて参加し、岐阜県大垣市の高校で外国語指導助手を務めたコネティカット州出身のジェフ・エバンさんは、「学校で英語を教えたり、アメリカの文化を紹介するだけでなく、昼食後の職員室の掃除を手伝ったり、英語クラブに参加するなど毎日がとても楽しかった。自分の夢は日本で英語教師をすることだったので、帰国後はニューヨーク日本人学校で働くことができてとても幸運だ。今の目標は、さらに日本語を勉強して、もっと新たな可能性を探っていきたい」と話した。今後のJETプログラム参加者へのアドバイスとしては「何事にもオープンマインドで臨んでほしい。完全に違う文化で生活するなかで、カルチャーショックに出くわすのは自然なことであり、むしろこの貴重な機会を活かし克服するなかで、日本だけでなく自国文化や自分自身にも新たな気づきを得られると思う。何事にも挑戦し、一瞬一瞬を大切に過ごしてほしい。おいしいものを食べ、遠くに出かけ、積極的に人に話しかける。これらをするだけで私には一生続くつながりができたし、皆さんもそうできると思う」とエールを送った。  

「外国語指導助手経験者をはじめとしてJET経験者は、日本での経験を誇りに思っていて、派遣された地域に強い愛着を持っている。日本での経験がきっととても良いものだったのだと思う」と話すのは、ジェフさんが教えるニューヨーク日本人学校の岡田雅彦校長。JET経験者のエバンさんを採用して気づいたこととして、「教師としての知識や技量なども含めて英語教師としての資質が高いだけでなく、日本人や日本文化に対して親しみを持っているので、本人も学校もストレスが少なく、業務に集中しやすいので非常に助かっている。日本人教師の働き方や外国語指導助手としての協力の在り方など日本の学校の様子や日本文化をよく知っているので、日本人学校の英語教師として子どもたちや学校の状況にすぐになじむことができ、即戦力となり得る。子どもたちにとっても非常に良いことだと思う」と高く評価した。また、「日本のコミュニティや日本人学校に関心を持って、帰国後も継続的に関わってほしいし、学校としてもより協力できる形を探っていきたい」と今後のJET経験者に期待をかけた。  

同プログラム参加者は最大5年におよぶプログラム任期後も、国際的な同窓会組織であるJET Alumni Association(JETAA)を通じて、母国と日本とをつなぐ“架け橋”として草の根の国際交流の一端を担っている。2024年1月現在、JETAAの活動は日本を含む19の国と地域にわたり、支部数は54、会員数は約2万1000人にも及ぶ。その中でも最大はアメリカで、ニューヨークにおいても毎年5月に行われるジャパンパレードなどさまざまなシーンで活躍している。  

ジェフ・エバンさん(右)とNY日本人学校の岡田雅彦校長(NY日本人学校提供)

日本国内の“内向き志向”が課題とされる中で、世界の地政学的リスクはさらなる高まりをみせており、日本の国際交流は今後さらに重要となってくると思われる。そのような情勢にあって、日本人の積極的な国際交流はもちろんのこと、JETプログラム参加者のような“日本ファン”の存在もより重要になってくるだろう。そのためには、同プログラム参加者がプログラム終了後も継続的に日本と関わりをもてる環境が重要であり、エバンさんとニューヨーク日本人学校のようなJETプログラム参加者とニューヨークの日本コミュニティとのさらなる連携強化を期待したい。

 

 

 

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