NY生まれのアル·パチーノが回顧録
SNSには出ない波乱の人生
映画「ゴッドファーザー」シリーズなどの名優アル・パチーノが最近、回想録「ソニー・ボーイ」を出版した。ニューヨーク・サウスブロンクス生まれで今年84歳。若手のセレブがSNSを使い始める前からの秘話が満載で10月25日、英紙ガーディアンが披露した。
「74年前のペニスの傷がいまだにトラウマ」10歳の時、雨の中でタップダンシングをしていた際、滑って鉄柵に股の間を激しく打ちつけた。幼なじみ3人と母親が過剰摂取で亡くなり、「麻薬にはほとんど手を出していない」。「性的少数者の権利を長年擁護」トランスジェンダーの扱いをめぐり、撮影を拒否したこともある。
1979年には「リチャード三世」で主演。楽屋を訪れた「J・Fケネディ大統領のジャクリーン夫人に自分の手にキスをするよう求めて侮辱」してしまった。「ファンに誘拐されそうになる」こともあった。70年代に酔い潰れ、家まで送るというファンの女性の車に乗ったところ、誘拐すると宣告された。車から飛び降りて逃げた。
「女優ダイアン・キートンに救われた」仕事が枯渇した際、付き合っていたキートンが生活を支え、仕事を斡旋してくれた。「俳優アダム・サンドラーにも救われた」2000年代中頃、浪費と投資詐欺に遭って5000万ドルが消えた。サンドラーがコメディー映画の仕事をくれて、「ペイが良かったから出演した。今ではラッパーに救われている」という。1982年の「スカーフェイス」は大失敗作。最近、ラッパーやそのファンの間で人気が出て、レジデュアル(再使用料)収入が入ってくる。
「タランティーノ監督から評価されていない」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でレオナルド・ディカプリオとの台本で21ページにわたる会話シーンが2分にカットされた。「スターウォーズは評価していない」「この役は理解できない」とハン・ソロ役のオファーを断った。
「16カ月の息子あり」見ているだけで口元が緩む。「俳優は偉大な人間」自己中心的でもナルシストでもない。「一緒に写真を撮るのはかまわないが、撮った写真を見せないで」。年老いた自分を見たくない。「来世はない」。コロナで死にかけた。「死を体験した。何もなかった。ここにいる自分が、ここにいなくなるだけ」と振り返る。