共同通信
ひよこの形をした名古屋のスイーツ「ぴよりん」を振動実験にかけた動画を、販売しているジェイアール東海フードサービス(名古屋市)がインターネットで公開し、話題になっている。愛らしい見た目の一方、ぴよりんは形が崩れやすいことも知られている。実験は日立製作所が協力し、耐えられる揺れを科学的に検証した。かわいい姿のまま、連れて帰るコツとは―。(共同通信=吉田有美香)
ぴよりんは土産物としても人気で、名古屋コーチンの卵を使ったプリンをババロアで包み、表面に粒状スポンジがまぶされ、ふわふわしたやわらかい食感が特徴。それゆえ形が崩れやすく、交流サイト(SNS)では顔を崩さずに運ぼうとすることが「ぴよりんチャレンジ」と呼ばれている。
「ぴよりんを研究してみたい」。日立の研究開発グループの有志が手を挙げ、同社は2024年1月、鉄道車両部品などの試験に使われる実験装置を提供。人が持ち運ぶ場合を想定し、ぴよりんにさまざまな振動を与え、その様子を動画に記録した。
実験の結果、横揺れでは皿の上で回転を繰り返しながらも震度4~5相当の揺れにまで耐えられることが分かった。一方、縦揺れには弱く、皿の上で浮き、着地の際、崩れたり、羽根の切り込みから裂けるように壊れたりした。
研究員は「想定以上に横揺れに強い構造だ。ババロアのおかげで体幹が強いのかもしれない。データ上では鉄道の振動程度では崩れない」と分析した。
動画では持ち帰る際のコツとして「箱に収まりがよい偶数を購入する」「袋は水平を保つ」「ゆっくり歩き、段差では細心の注意を」といった六つのポイントを挙げた。
ぴよりんの公式ユーチューブチャンネルで9月3日に公開し、2カ月で5万回以上再生された。ジェイアール東海フードサービスの須藤友彦さんは「コツをつかめば誰でも上手に持ち帰れます」と購入前の動画視聴を勧めている。