NYは「シングル」にとってやさしい街?
独身のためのマラソンや
ユニークな「対面イベント」の勢いがすごい
「デートするには最悪の街」そんな統計も取られているニューヨークだが、独身27歳が過ごす街としては、そんなに悪くはないと思う。
というのも、最近この街では恋愛を再び「リアル」で楽しもうというトレンドが巻き起こっていて(特に2024年)、シングルのためのマラソンに、公園に設置される愛の掲示板、見知らぬ人とデートに出かけるブラインドデートに、大手マッチングアプリが主催する「対面イベント」など、アプリでの出会いが主流になってきた世の中の逆を行くイベントが数多く行われている。
◆ そもそもなぜこの話を?
筆者は冒頭でもお伝えしたとおり、27歳独身女性。周りの友人が次々に「プロポーズされてん!」と報告してくれる中、自分は夢を追いかけるために単身ニューヨークにやってきた。当時は知り合いがあまりこちらにいなかったため、自身の人脈(Hopefully 恋人?)を広げるために、いろいろとリサーチをしていると、出会いの割合を締める「アプリ」の他に、「対面イベント」の多さに驚いた。
日本でも昔から合コンや街コンといった「コンパ」が存在するが、な〜んか古臭くて足が出向かなかった筆者(個々により意見は異なる)。その場に行った自分を想像してみても、仕事帰りビール片手のスーツ姿の男性に「結婚願望は?」など聞かれるシチュエーションにシックリこなかったので、日本で行われている対面イベントに希望は見い出していなかった。
◆ あちこちでイケてる対面(恋愛)イベントが開催
だが、そんなイメージがニューヨークに来てから一変。「イケてる対面イベント」が多いこと。
(1)「黒い服」がサイン
シングルの男女のためのマラソン
まず目に留まったには毎週水曜日の18時45分にシングルの男女が黒い服をまとって集い、マラソンに出かけるという「Lunge Run Club(ランラウンジクラブ)」。2024年5月にスタートしたばかりだが、SNSを通じて瞬く間に広まり、今では1000人規模の大型イベントに成長。「このマラソンがあれば、スワイプしなくてもいいかなって思えてきた」参加者からはこのようなコメントが多く寄せられている。
(2)掲示板で恋人を探す「Love Wall」
次にこの夏にトレンドとなった「Love Wall」こと愛の掲示板。ブルックリンの公園の一角に設置されたこの壁には、出会いを求める人々のポラロイド写真と簡単な自己紹介が貼られており、気になった人がいればその人とマッチができるというもの。
この企画の発案者にインタビューも実施したのだが、彼らも口を揃えて「スワイプでの出会いが主流となった今、リアルとクリエイティビティで何か新しいことをしたかった」「人々には恋愛の本来の楽しみ方を取り戻して欲しかった」と語っていたのが印象的だった。
しかも同プロジェクトは、デジタルネイティブ真っ盛りの20代前半の2人が立ち上げたというから、余計に面白い。
(3)アルゴリズムで似たもの同士と「ディナー」
そのほかにも、「Timeleft」というアプリには自身の趣味や考え方などを登録すると、アルゴリズムから似たもの同士の5人が自動マッチングさせられ、「ディナーの約束」を取り付けてくれるというものもあったりと、きっかけはオンラインだが、そこから「リアル」に繋げてくれるようなものも多数存在する。
(4)マッチングアプリの「対面版」
そんな「アプリがきっかけ」でいうと、アメリカの3大マッチングアプリのひとつ「Bumble」も「Bumble IRL」と行った対面イベントを実施している。ロサンゼルスやシカゴ、マイアミなど、大都市で定期的に開催されている同イベント。ニューヨークでもクリスマス前の12月12日に開催され、反響はいかがなものかと会場まで足を運んでみた。
アプリをダウンロードしていれば、誰でも入ることができるイベント。とはいえ、「誰もいなかったらどうしよう」なんて心配しながら、恐る恐る会場に到着すると、ざっと30人以上の長蛇の列を発見。半分以上の人がソロで並んでいて、その他は友人と来ていた。
入り口でアプリを見せて、会場内に入ると無料で使えるバーカウンターがあり、ビールにシャンパン、ワインなどが飲み放題。そしてルールはいたってシンプルで「とにかく気になった人と喋る」。記事のためのロケハンがてらに来たとはいえ、会場の隅でシャンパン飲みながら人間観察だけしているのではノリが良くないなと思ったので、さまざまな人からの「Hi!」「How are you?」を受けて、友達作り感覚で話し始めてみた。
すると最終的には、同じく様子見(?)に来た女優志願の素敵女子と話が進み、気がつくと4人の多種多様なメンズと筆者、その女子で乾杯を繰り広げていた。そして、みんなとにかく「リアルで出会える喜び」を楽しんでいるようで、恋愛対象どうこうではなく、シンプルに「何かの縁かもしれないね」という言葉が多く飛び交っていたように感じた。
◆ まとめ「常に変化を求める街ニューヨーク」
と、最近筆者が気になった「NY対面恋愛事情」について紹介したのだが、こうして現場に出向いたり、話を聞いたりしている中で感じたのは「このままではいけない」という恋愛に積極的な人たち。ニューヨークでは受け身では生きられない街だが、そんなスタイルが恋愛にも反映され始めているのではないだろうかとも思った。
迷ったら行動する、アプリでの恋人探しに疲れた人々が次々に「リアル」を求めることで、次々に面白いイベントが立ち上がってくる。2025年はどんなトレンドが生み出されるのだろうか? 期待は高まるばかりだ。
文/ナガタミユ
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