共同通信

夏場に水田の水を一時的に抜き、土壌に酸素を与えて稲の成長を助ける「中干し」の期間を延ばす取り組みが北海道で広がっている。温室効果ガスのメタン排出を減らす目的で、削減分を売買する「カーボンクレジット」を通じて収益も見込める。クレジットの販売などを手がけるフェイガー(東京)の担当者松谷達馬さん(39)は「農家フレンドリーな仕組みを目指したい」と語る。(共同通信=羽場育歩)
環境省によると、メタンは二酸化炭素(CO2)の28倍の温室効果があるとされる。国内の2022年度の排出量のうち、産業別では農業が82%を占め、その半数超が稲作由来だ。
フェイガーによると、田に水を張ると嫌気性のメタン生成菌が活性化。中干しは6月中旬から8月上旬にかけて1週間前後行う農家が多いが、1週間延長すると菌の活動が抑制され、排出を約30%減らせるという。
「手間がほとんどかからず環境にも良い」。2023年に取り組みを始めた江別市の農業生産法人「輝楽里(きらり)」の水田管理担当・田沢優さん(43)は話す。
農家が中干ししている写真や記録を提出すると、フェイガーを介し、認証されたクレジット(排出枠)に応じた金額が支払われる。輝楽里は2023年に約65ヘクタールで実施し、約150万円を得た。藤城正興常務(47)は「機械の更新など、前向きな投資に使える」とメリットを力説する。
隣の新篠津村では、参加する農家が2023年は1戸だけだったが、2024年は76戸に急増。生産者でつくる新篠津村ICT農業研究会の高橋一志会長(50)は「全体で取り組むことで村と環境のためになり、個々の収益にもつながる」と期待を寄せる。
フェイガーの協力農家は全国でも増えているといい、松谷さんは「地場産のクレジットを地元企業に販売し、循環できる仕組みを作りたい」と話した。



RECOMMENDED
-
「1人暮らし」はつらいよ NYの生活費、全米平均の3倍
-
NY名物のステーキ、ずばりオススメの店は? セレブ御用達や「フライドポテト食べ放題」も
-
アメリカでいちばん人気の犬の名前は「ルナ」 3年連続でトップ、日本名との違いは?
-
NY初の「バンダイ」体験型施設に潜入!200台を超えるガシャポンに、アメリカ初のゲーム機も
-
連載『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』Vol.10 ニューヨーカーはなぜ「手ぶら」で歩く?
-
実は面白い “トレジョ” のアート、ディスプレイからパッケージまで「気が付かないのはもったいない」
-
無料で雑誌「The New Yorker」の世界にどっぷり浸れる、今行くべき展覧会
-
不要なものを買わない方法 NYタイムズが「節約術」を紹介
-
横浜駅前で暴走の男 “覚醒剤”や注射器100本押収
-
ニューヨーカーが使う節約術、マンハッタンの無料巡回バスとは? 停留所は33カ所も