新連載『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』
vol.1 ニューヨーカーは、なぜブックカバーを使わない
ニューヨークでの生活では驚きが「スタンダート」と化している。筆者は27歳、この夏憧れのニューヨークにやって来た新参者だ。日本(神戸)で人生の大半を過ごしたせいか、いちいちビックリするようなことが毎日のように起こるので、文化の違いやカオスな出来事を中心にポップにつづっていくことにした。
文/ナガタミユ
〜 ブックカバーはしない「好きを隠すな!」〜
地下鉄に乗っていて気づいたこと、それは「ブックカバー」の在処。日本では本を買うとき、当たり前のように「ブックカバーかけますか?」と言われて、ベージュやネイビーの包み紙で丁寧に表紙を覆い隠してくれるのだが、ニューヨークでブックカバーは見たことがない。
もちろん本を買うときにも聞かれないし、なんなら「袋が欲しいです!」と言わない限り、紙袋にも入れてもらえず、そのまま素っ裸の本が手元にやってくる。そして街中や電車ではみんな、そんなスッポンポンの本を包み隠すことなく読んでおり、仮にブックカバーをして読もうものなら、怪しく思われるほどだ。
なんなんだ、この違いは。日本でブックカバーをかけずに読書していると、「『あの人、私は今コレ読んでますって見せたいだけだよねw』 などと思われるんじゃないか?」と、羞恥心が勝ってしまう。まぁ確かにブックカバーのおかげで「嫌われる勇気」(岸見一郎 、古賀史健)や「愛するということ」(エーリッヒ・フロム)など、タイトルで今の心情を読み取られそうな本を通勤中に読むことができるのだが。
と、このマインドでニューヨークの本屋さんにいくと「地下鉄で読んでも恥ずかしくない本」を選びそうになる・・・いや、そうじゃない。地下鉄で好きな本が読める自分になること、好きを覆い隠さないこと、そうあるべきなんだ★ というのは分かっているのだけど、今日もやっぱり表紙を膝に置いたカバンにべったりくっつけて読書してしまった。いいの、いいの、ゆっくりで。
– 著者のプロフィール –
ナガタミユ(Miyu Nagata)エディター/ダンサー
兵庫県出身の27歳。幼少期に観た「コーラスライン」をきっかけに舞台芸術の世界にどっぷりハマって以来、20年以上踊り続けている。また、日本の出版社で編集者として活躍したのち「書いて、踊る編集者」としてさらなる飛躍を遂げるため、2024年8月から拠点をニューヨークに移す。
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