
不法移民の国外追放を公約に掲げるトランプ次期大統領の就任を目前に控え、ニューヨーク市教育局(DOE)は、これに対応する準備を進めている。ニューヨーク・タイムズが13日、伝えた。
DOEのエマ・バデーラ副局長は先月、市の学校の校長に宛て、移民税関捜査局(ICE)の捜査官が学校に現れた場合、まず「DOEの弁護士に連絡する」「さらなる指示を待つ」「ICE捜査官に学校の外で待機するよう求める」との対応手順を電子メールで伝達した。また、学校の職員に「生徒の在留資格を尋ねないこと」「知っている場合、いかなる学校記録にも記載せず、機密事項として扱わなければならない」との指示もあった。
教育局長に助言する24人の委員による教育政策委員会は、これらの方針を全て再公表する意図の決議案を準備している。決議案には、「連邦当局から連邦移民法の施行を要請された場合のDOEの対応は、州および市の州が決定する」との方針を盛り込む予定だ。委員会のメンバーは、「最も重要な点は、個々のケースに対する司法令状が必要であり、移民全員を渡せといった一律の取り締まりはさせない」と強調した。生徒の強制送還を懸念する学校管理者向けに、オンライン説明会が企画され、進路指導カウンセラーやソーシャルワーカー、その他の職員を対象とした同様の研修会も計画中だ。
編集部のつぶやき
そもそも移民によって建国され、移民で成り立っている国が移民を迫害するってどうなんでしょうか。合法移民といったって、抽選永住権も30年ほど前までは、「早い者勝ち」「申請書を大量に出した者勝ち」、もっと前は「恩赦」なんてこともあって誰でも合法移民になれたんです(一部の対象外の国を除く)。会社のサポートのおかげでビザも永住権も取得した私は、お金も時間もそれなりに使いましたが、不法移民を目の仇にする現状には違和感と、「このままいくと永住権保持者だって危ないかも?」といった危機感をもちます。不法移民だってそれなりの事情があるはず。不法移民の強制送還に莫大な予算を注ぎ込むより合法的に働けるビザを支給して、税金を納めてもらったほうが、ずっと国益にかなっていると思うんだけどね。(AK)
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