共同通信

大阪大は前身の大阪帝大が1931年に誕生して以来、学部の増設、キャンパス拡大などの歴史を積み重ねてきた。標高77メートルの待兼山周辺に位置する豊中キャンパス(大阪府豊中市)の地下深くには、はるか昔のワニの化石や古墳などさらなる歴史を伝える遺物が眠っていることが明らかになった。(共同通信=水谷茜)
64年、理学部新校舎の建設現場の40万~50万年前の地層で、化石好きの高校生2人が骨片を発見し、大阪市立自然科学博物館=当時=に持ち込んだ。大阪大総合学術博物館はその時の化石を展示しており、元館長の江口太郎阪大名誉教授は「彼らが自分のお宝にしなかったのが偉い」と笑う。
博物館や阪大の研究者が掘削を進めると次々に骨が見つかり、1メートルを超える頭骨の発見に至り、ワニと分かった。日本で最初に見つかったワニ化石で、付近の地名から「マチカネワニ」と名付けられた。推定全長6~7メートル。骨の70~80%が見つかり、保存状態は世界的に見ても良好だ。
江口さんの専門は物理化学だが、博物館に関わった縁で20年間マチカネワニの魅力発信に携わってきた。江口さんが66年に阪大に入学した当時は「話題にもなっていなかった」というが、発信のかいもあり、阪大の「ワニ博士」や豊中市の「マチカネくん」といった公式キャラクターになり、地域で愛されている。
「なぜ温帯のワニなのにこんなに大きいのか」「どうして1体しか見つからないのか」など「謎が多いのが魅力の一つ」と江口さんは語る。
キャンパスの地下には2千年にわたる人類の営みの痕跡も残る。83年、研究施設建設予定地で弥生時代の土器などが見つかって以来、全域で弥生時代の集落のほか、古墳時代の古墳が五つ、窯跡が二つ、中世から近世にわたる墓も見つかった。
キャンパス付近は周囲より数十メートルだけ高い。福永伸哉阪大教授は「高すぎない丘陵が、敵の襲来を見張ったり、故人の眺望がいいようにお墓を建てたり、便利に使われてきたのではないか」と話した。
◎大阪大学 1838年に医師で蘭学者の緒方洪庵が設立した適塾が原点といわれ、帝国大学の一つとして、医学部と理学部の2学部で1931年に誕生した。初代学長は「土星型原子模型」を提唱した物理学者の長岡半太郎氏。のちに工学部や文学部などが加わり、現在は11学部、キャンパスは大阪府北部の吹田・豊中・箕面の3カ所に分かれる。




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