不当な立ち退きや法外な家賃の値上げから賃借人を保護する「正当な理由による立ち退き法」が昨年春、ニューヨーク州議会で可決された。家主が賃借人を退去させるには「正当な理由」が必要となり、「賃貸期間が終了した」という理由だけで立ち退きを求めることができなくなった。ニューヨーク・タイムズが28日、伝えた。

法律が定める「正当な理由」には、入居者が①賃貸借契約の条件に違反 ②アパートで違法行為を行った ③賃貸物件を損傷した―などが該当する。家賃の未払いも正当な理由となり得るが、その場合でも「不当な値上げ」でないことが条件となる。不当な値上げとはインフレ率を上回る値上げを指し、ニューヨーク市の昨年のインフレ率3.82%プラス5%の基準値8.82%を上回る値上げがあった場合、賃借人が保護される可能性がある。賃貸住宅の約半数は、既に市の家賃安定化制度により同様の保護を受けているが、この法は規制外住宅に住む数十万世帯にも新たな保護を提供している。
同州法を「借主保護の拡大に向けた大きな前進」と称賛が挙がる一方、「アパートの維持に苦労している所有者にとってさらなる負担」「同法案は多くの面で表現が不適切で、その不明瞭さが住宅裁判所の判事による判断の相違につながる」と批判する声も聞かれた。
編集部のつぶやき
ニューヨークには悪質な家主がいっぱいいます。ウィリアムズ副市長のオフィスでは「100 Worst Landlords In NYC(ニューヨーク市極悪家主100人)」リストをウェブ上で公開していますので、賃貸アパートを探している人、既に入居して問題を抱えている人はこちらhttps://www.landlordwatchlist.com/でチェックすることをおすすめします。(A.K.)
関連記事
NYで最も家賃が高い地区は?「高級エリア」と「注目エリア」が全く異なる結果に
Z世代の60%、収入3分の1が家賃へ 天文学的な上昇、追い付くのは困難
RECOMMENDED
-
NYの「無賃乗車」対策にまさかのアイテム 地下鉄の改札に現れたのは?
-
連載『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』 Vol.6 日本のトイレにあったアレ
-
移民の権利、まず「ドアを開けないで」 取締官への対応策を知ろう
-
NYで最も家賃が高い地区は?「高級エリア」と「注目エリア」が全く異なる結果に
-
連載『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』 Vol.5 アメリカには存在しない便利アイテム
-
塩、コーヒー、教科書まで軒並み値上がり トレジョの卵は一人1パックまで
-
変わった “おにぎり” がNYで流行 ビジュ重視なニューヨーカーを虜に「当時はそこまで認知されていなかった」
-
クイーンズ·リッジウッド、2年連続首位 NY市の「住みたい地区」トップ10
-
世界の駐在員、ブルックリンに注目 NYなのに故郷を思い出す?
-
マンハッタンの中心地に「独立系レコード屋」 1号店からわずか3分先にオープン