2025.01.30 COLUMN DAILY CONTENTS NEWS 山田順の「週刊 未来地図」

山田順の「週刊 未来地図」世界を混迷させる高齢指導者たち 2025年は老害政治が蔓延する最悪の年に!(下)

女性議員が少なく「GGGI」で下位独走

 世界経済フォーラムよる「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」(The Global Gender Gap Index:GGGI:2024年版)では、日本のジェンダーギャップ指数は156カ国中118位。毎年100位以下で、下位を独走している。これは、指数のなかの1項目、政治分野への女性参画が圧倒的に低いからだ。
 これまで何度選挙をやっても、日本の女性国会議員の割合は10%前後で変わらないできた。ただ、先の衆議院選挙では過去最多の73人が当選し、女性比率は15.7%になった。これが一時なものか、今後増える可能性があるのかどうかはわからない。ただ、増えたといっても、たった15.7%である。
 女性議員の少なさは、地方議会も同様であり、全都道府県のうち女性議員の割合が20%以上なのは4都道府県だけである。
 日本は、このように高齢男性による「老害政治」を続けている国であり、これでは経済低迷、「失われた30年」が続いているのも無理はない。

脳は30代から萎縮が始まり65歳から加速

 政治を行うには、状況把握力、想像力、構想力、説得力、決断力などが必要だ。前総理の岸田が自慢した「聞く力」など、それほど重要ではない。岸田は聞くだけで、ほぼなにも実行しなかった。
 それはともかく、こうした能力は、すべて脳からの指令による。脳が老化して、力が衰えれば、政治は迷走する。
 脳の老化は、脳の萎縮(神経細胞=ニューロンの減少)によって引き起こされる。脳の萎縮は30歳代くらいから少しずつ始まり、65歳くらいから加速すると言われている。
 脳が老化すれば、もの忘れ、同じ言動を繰り返す、人やものの名前を忘れる・間違える、年月日・時間・いる場所がわからなくなるなどの症状が現れる。もちろん、個人差は大きいが、70歳を超えて、脳がまったく衰えないなどということはほぼない。
 つまり、さすがに70歳を超えて政治を行なうというのは、無理筋である。なにより、国民、国家、そして世界のためにならない。

「右脳老害」と「左脳老害」がある

 『老害脳 最新の脳科学でわかった「老害」になる人 ならない人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者・脳内科医の加藤俊徳氏によると、「老害脳」は2種あるという。
 以下、加藤氏の本の引用記事『 「老害政治家」が好き放題してもお咎めなし…日本に「すぐキレる高齢者」が蔓延する根本原因』(プレジデントOnline、2024年11月7日) から、転載する。
《まず、脳は一般に、環境脳と言える、環境からの情報処理を得意とする右脳と、自分脳と言える、自分自身の状況を言語で認識する左脳に分けられます。
 従って「老害脳」も大きく2種類に分けることができます。社会や環境から影響を受ける「右脳老害」と、自分自身の状況認識が発端になる「左脳老害」です
「右脳老害」は、環境や社会からの影響を受けやすく、周囲に同調することで生じる行動を指します。たとえば、組織内での悪しき慣習を無批判に受け入れる行為がこれに当たります。
 一方、「左脳老害」は、自己中心的な視点から生じる行動で、自分の価値観や意見を他者に押しつける傾向があります。たとえば、過去の成功体験に固執し、新しいアイデアを拒絶したり、一方的に怒鳴りつけたりする姿勢がこれに該当します》
 政治家は一般人と比べて、自己顕示欲、権力欲が強い。となると、歳を取ると「左脳老害」になるのではないか。トランプもプーチンも言動から見て、「左脳老害」と思える。

なぜ若い議員、首相が生まれないのか?

 日本の政治家が老人ばかりになり、首相も閣僚も老人となってしまうのは、なぜなのか?
 いろいろな原因が考えられるが、最大の理由は「高齢化社会」だからだろう。なにしろ、国民の中位数年齢は48.6歳である。しかも、若年層の投票率は高齢層に比べて圧倒的に低い。
 日本のような議院内閣制の国では、若い国会議員の割合が高ければ高いほど、若いリーダーが生まれるという傾向がある。アメリカは大統領制なので、この傾向は当てはまらないが、それでもこれまで日本より若いリーダーが次々に誕生してきた。 
 欧州では、多くの国で、リーダーは若い。フランスのマクロン、イタリアのメローニにはその代表例だ。

この続きは1月31日(金)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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