米移民税関捜査局(ICE)が職場や自宅にやってきたら、まずは「ドアを開けないで」―。トランプ大統領令による不法移民の強制送還強化で、ICEはアメリカで日々1200〜1500人の移民を摘発している。日本人を含む合法的に滞在している移民の間でも、「誤認」の摘発の可能性があるとされ、不安が広がっている。これに対し、専門家は「ICEが令状なしで逮捕することはできない。移民の権利を知って」と、冷静な対応を呼びかけている。

日本人コミュニティーでは「自由の国と思って住んできたがそうではなくなった」「グリーンカードがあるのに、恐怖を感じる」といった声が上がる。SNSでは合法滞在でも移民は「グリーンカードなど合法的な滞在許可(書類)を持ち歩いた方が安全」というアドバイスも見られる。
イミグラント・リーガル・リソース・センター(ILRC)は、合法・不法を問わず移民には権利があることを知らせる「レッドカード」の携帯を勧めている。名刺サイズで、現在、リンクからプリントできる。文面は以下。
「アメリカ合衆国憲法の修正第5条に基づいて、あなたと話したり、質問に答えたり、私の書類を見せることは望んでいません。同修正第4条の権利によって、判事が署名し、私の名前が書かれた令状をドアの下から入れられない限り、私の家には入れられません(以下略)」
現在、事業主が社員に携帯させるためにダウンロードが殺到しているという。
「知らない人から路上で出身国を聞かれても答えてはいけない。自宅などに来たら、ドアを開けず、質問にも答えてはダメ」と話すのは、ABC7のインタビューに答えた弁護士ベロニカ・カルデナスさん。オバマ、バイデン政権中にICEの検察官だった経験がある。
カルデナスさんは、トランプ政権がICEに対し1日1800人の摘発を要求していることを懸念。「当局は数字合わせに必死」として、摘発が不法移民や犯罪者だけにとどまるとは限らないと指摘している。実際にニュージャージー州ニューアークの魚介類卸会社では、陸軍退役軍人がIDを持っていなかったとして摘発されている。
ICEは1月28日未明、ニューヨーク・ブロンクスで誘拐・暴行・窃盗容疑の不法移民を逮捕。ニューヨーク市での摘発第一段となった。しかし、ニューヨーク市内には、労働許可を待つなど「書類」を持たない移民や亡命希望者も多くおり、取締を恐れて、出勤しなかったり、子どもを登校させないなど混乱が広がっている。合法的な書類があっても、用心が必要となってきている。(津山恵子)
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