共同通信

ライバルが次々と失脚し、ベトナム最高指導者の共産党書記長の座をつかんだトー・ラム氏。2024年8月の就任早々、高速鉄道や原発建設など巨大事業に加え、省庁再編の着手を矢継ぎ早に決め「2桁成長」を目指す。ただ公安一筋で経済政策や外交の経験は乏しい。トランプ米政権誕生で国際政治や経済の先行きが不透明さを増す中、手腕に注目が集まる。(共同通信ハノイ支局=松下圭吾)
▽10万人規模削減
ラム氏は国営メディアの新年インタビューで「発展の時代に足を踏み入れつつある」と主張。高度経済成長を実現し、2045年までの高所得国入りを達成する決意を示した。
ラム氏は就任後、首都ハノイと最大都市ホーチミンを結ぶ高速鉄道計画(約1540キロ)や、初の原発建設案の国会承認を主導。成長には「無駄をなくす」合理化が必要だとし、党や政府の人員削減にも踏み込む。
ベトナムは共産党の一党独裁で党の存在感が大きい。指導部は党関連の19機関・組織を13へ削減すると決定。省庁や国営企業、教育機関などで2割程度の部局廃止が検討されている。この改革で10万人規模の解職が想定され、在ハノイ外交筋は「人件費を巨大事業に回す狙い」と見る。
外国企業は改革姿勢を歓迎。ただ期待は先行気味で「成果が出なければ求心力は低下し、国際的な信頼も失う」(同外交筋)との観測も出る。
▽反汚職で実権
ラム氏は40年間、警察や治安対策を担う公安省一筋だった。前書記長グエン・フー・チョン氏が主導した反汚職運動を、実動部隊を持つ公安相として支えた。2022年末から自身と同格以上の指導者5人が関わる汚職を次々に摘発、チョン氏が死去した2024年夏に書記長職をたぐり寄せた。
就任後、政治の表舞台から追いやった序列2位の国家主席や国会議長などトップ4経験者らを今冬「史上初めて」(国営メディア)懲戒。公安省にゆかりがある人物を党中枢に引き上げた。一大勢力の軍に国家主席職を譲ってバランスを取っており、党や行政畑出身者が目立ったチョン氏の前体制とは性格が異なる。
アジア経済研究所の石塚二葉研究員は一連の機構改革で「全国に混乱が生じる」との懸念がある一方、一段の経済発展につながり得ると指摘。2026年に予定される次期党大会で「新たな時代の始まりを宣言し、高度成長志向の政策を打ち出すのでは」と分析した。





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