共同通信

2004年のスマトラ沖地震ではスリランカにも大津波が押し寄せ、3万5千人以上が死亡・行方不明になった。被災した南部のビーチリゾート、ヒッカドゥワの沿岸部に3年後、地元の女性が「津波写真博物館」を開設。震災から20年が過ぎた今も、観光客らに当時の惨状を伝えている。(共同通信ニューデリー支局=岩橋拓郎)
「このがれきが私の家だったの」。崩れたコンクリート片が写った写真をカマニさん(51)が指さすと、英国からマリンスポーツを楽しむためにヒッカドゥワに来たという青年は無言のまま何度もうなずいていた。
ヒッカドゥワは国内有数の人気観光地で、雄大なインド洋が眼前に広がる。カマニさんは海岸沿いに6人家族で住んでいた。2004年12月26日、スマトラ沖地震に伴う大津波に襲われ自宅が流された。家族は無事だったが、数カ月間、内陸部の避難所や知人宅を転々とする生活を余儀なくされた。
震災前に働いていた最大都市コロンボの会社に復職し、生活の立て直しに努めていた2007年、災害支援ボランティアとしてヒッカドゥワを訪れていたオランダ人女性から「博物館を開いてはどうか」と提案された。
観光客は戻りつつある。でも、このままだと津波がこの美しい海岸を襲ったことが忘れられてしまう―。世界の人に、後生の人に津波の恐ろしさを知ってほしいと思い、ボランティアらから写真の寄贈を受け、震災前と同じ場所に建てた自宅の一部を博物館にした。
破壊された列車や埋葬される遺体などの写真千点近くが展示されている。インド洋周辺の地図や死傷者のデータも掲示した。入場は無料で、寄付で運営する。コロンボ近郊から見学に来たアヌラさん(64)は、妹=当時(42)=とその娘=同(9)=を津波で亡くした。「ここに来ると2人がそばにいると思える」
多くの知人が犠牲になったカマニさんは、ロシアのウクライナ侵攻やガザ情勢に触れ「災害があったら敵も味方もない。争いなんて愚か。命こそ宝だと分かってほしい」と訴えた。





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