第2次トランプ政権がスタートして、今後、世界はどうなるのかと、世の中が騒然としている。この日本でも、「先が読めない」と、専門家もメディアも言っている。
しかし、そうだろうか? トランプほど、その言動から見てわかりやすい大統領はいない。対日政策に関しても、それははっきりしている。要するに、もっと軍事費を増額して、対中防衛を強化しろということに尽きる。その鍵を握るのは、国防次官となったエルブリッジ・コルビーだ。いったい、どんな人物で、なにを考えているのか?
予測不能?「オレ様主義」で言動にブレはない
第2次トランプ政権がスタートして、いろいろなことが言われている。パリ協定離脱、WHO脱退、メキシコ湾をアメリカ湾にする—–など、大統領令の連発で、「先が読めない」「なにをするのかわからない」と、メディアも専門家も言っている。要する、世界の先行きは「予測不能」と言うのである。
しかし、そうだろうか?
私はそうは思わない。こんな単純な「オレ様主義」の大統領はいない。よく思い返してほしい。彼は、これまでずっと同じ言動を繰り返してきた。その言動にブレはない。突然、これまでと違うことを言ったことは1度もない。常に自分が正しく、自分を批判する、糾弾する人々はみな間違っている、フェイクだと言うだけだ。
つまり、トランプがやることは、「オレに従え。そうでないとお仕置きをするぞ」という“ガキ大将”政策である。この災害を、今後、日本も大いに受けることになる。
異例の就任式スピーチ「私は神に救われた」
先の大統領就任式ではっきりしたことがある。トランプが、完全に「オレ様」になったことだ。第1次政権のときは、まだそこまで行っていなかった。しかし、今回は違う。もはや、誰にも止めようがない。
それは、就任式スピーチで言ったことで明らかだ。
通常、就任式のスピーチは、アメリカの国家理念である「自由」「人権」「民主主義」を高らかに宣言し、国民の結束を促す内容になることが多い。しかし、トランプはそんなことより、自分を優先した。
「ほんの数カ月前、美しいペンシルベニアの地で、暗殺者の弾丸が私の耳を貫通した。しかし、私の命が救われたのには理由があったのだとそのときに感じた。いまではその確信を強めている。私はアメリカを再び偉大にするために神に救われたのだ」
聖書の上にも手を置かず司教に対し謝罪要求
つまり、彼は自分が神の命を受けた「大王」であると宣言したのである。
さらに驚くべきことに、彼は就任宣誓をする際、左手を聖書の上に置かなかった。こんなことは異例も異例だ。
また、トランプは、礼拝でLGBTQや移民に対して「慈悲の心を持つように」と説諭したワシントン大聖堂の司教に対し、「極左で強硬なアンチ・トランプだ」と非難して謝罪を求めたのである。
もうこうなると、トランプは自分を神の信託を受けた「大王」であり、世界中が自分にひざまずかねばならないと、本気で思い込んでいるとしか思えない。
プライオリティは中国の発展と拡大の阻止
というわけで、アメリカに誕生した「大王」が、今後、世界に対してなにをするか? この日本に対してなにをするかだが、トランプの政権構想をまとめた「アジェンダ47」と「プロジェクト2025」を紐解き、これまでの発言を振り返れば、それは明らかである。
まあ、いろいろ言ってはいるものの、こと対外政策に限れば、プライオリティは中国の発展と拡大の阻止である。グリーンランドをよこせ、パナマ運河を返せというのも、そこに中国が触手を伸ばしているのが気に食わない、アメリカの安全保障に関わるというのだ。
要するに、これは覇権主義であって、中国のアメリカの世界覇権に対する挑戦を許さないということである。また、帝国主義の復活でもあり、トランプの言う「MAGA」は、中国封じ込めによって強化される。
この続きは2月25日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
RECOMMENDED
-
春の満月「ピンクムーン」がNYの夜空を幻想的に、 日時やおすすめ鑑賞スポットは?
-
なぜ? アメリカの観光客が減少傾向に「30〜60%も…」、NY観光業で深まる懸念
-
アメリカのスーパーの食材に「危険なレベル」の残留農薬、気をつけるべき野菜や果物は?
-
生ごみのコンポスト義務化、守られず ごみ分別違反に4月1日から罰金
-
トレジョの人気すぎるミニトートに新色、各店舗からは「買えた」「買えなかった」の声 ebayではすでに約16倍の価格で転売!?
-
NYで「ソメイヨシノ」が見られる、お花見スポット5選 桜のトンネルや隠れた名所も
-
北米初のユニクロ「カフェ」がNYにオープン、気になるメニューや価格は?
-
物件高騰が続くNY、今が “買い時” な街とは? 「家を買うのにオススメなエリア」トップ10が発表
-
NY・ソーホーで白昼に起きた悲劇、ホームレスにガラスで首を刺され…女性が重体
-
NYのクイーンズに巨大な「エンタメ施設」が誕生、フードホールにライブ会場も 総工費は約80億ドル