トランプ政権がニューヨーク市の「渋滞税」中止に向けて動き出した。連邦運輸省のダフィー長官がニューヨーク州のホークル知事に書簡を送付。渋滞税に反対する旨を通知した。ニューヨーク・タイムズが20日、伝えた。

渋滞税中止はトランプ大統領の選挙公約の一つ。19日も自身のSNSトゥルースソーシャルに「渋滞税は死んだ。王様万歳」と書き込んだ。書簡の中でダフィー氏は、「労働者層の経済的負担が増える」「税収が道路補修に使われない」などを反対する理由として挙げている。そして「渋滞税徴収の秩序正しい中止に向けた協議」を実施するとしている。協議の日程は明らかにしていない。
渋滞税の徴収は今年1月5日から開始。当初の目論見通り、渋滞は緩和されたと指摘されている。対象となるマンハッタン60丁目以南にある商業店舗の客足は増えているものの、売り上げ減を懸念する声も残る。
推進してきたホークル知事はトランプ氏と話し合い、ニューヨーク州都市交通局(MTA)の設備投資の資金源になるなどの利点を強調。時間稼ぎに腐心してきた。ここで中止となるとMTAの予算に大きな穴があく。MTAのリーバーCEOは、「代替案はない」と説明している。書簡を受け取った同知事は渋滞税の継続を明言。MTAは即座に中止を求める動きを止めるべく提訴した。「われわれは法治国家。王様が治める国ではない」と抗議。「それでは法廷で」と続けた。渋滞税に賛成するコロンビア大学ロースクールマイケル・ジェラルド教授は、連邦政府がニューヨーク州による主要交通施策を中止した前例はなく、「ダフィー氏の書簡の法的根拠は疑わしい」とコメントしている。いずれにしても法廷闘争が始まる。決着までは数カ月、または数年かかる見込み。その間、裁判所が一時的に中止する決定を下さない限り、渋滞税の徴収は継続される。
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