2025.02.26 『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』 COLUMN DAILY CONTENTS NEWS

連載『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』Vol.10 ニューヨーカーはなぜ「手ぶら」で歩く?

ニューヨークでの生活では驚きが「スタンダート」と化している。筆者は27歳、この夏憧れのニューヨークにやって来た新参者だ。日本(神戸)で人生の大半を過ごしたせいか、いちいちビックリするようなことが毎日のように起こるので、文化の違いやカオスな出来事を中心にポップにつづっていくことにした。

〜 アメリカのトイレには、アレがない 〜

過去のエピソードで、アメリカには「あったらいいな」と思う便利アイテムがない、という話をしたが、今回もその続き。この街には “トイレでカバンをかけるフック” がない。

洗面台の次に大切なカバンかけ。ニューヨークの「綺麗」とは言い難いトイレで、ベストなパフォーマンスを行うためには、せめてお気に入りのカバンは専用フックにかけて、両手が空いた状態で諸々の作業を済ませたいところ。日本のトイレにはもちろんあるし、なんならサイズ違いで買い物手提げをかける場所まで備わったりしている。

だがここはニューヨーク。ほとんどのトイレにはこのカバンかけがないので、たま〜に遭遇するとただの突起物なのに、ものすごいありがたみを感じるが、1/10くらいの確率だ。

と、このアメリカにない「アイテム」を考え始めると、ポロポロ出てくるわ、出てくる。レストランの荷物置きもそうだ。日本ではレストランに行くと、テーブルの下に収納できる荷物置きボックスを貸してくれるが、ニューヨークでは滅多に見かけない。なので、空いてる席に荷物を置けない場合は、自分の膝や背中に置いておくほかない。

そう考えていくと、この街の「ない」に対応するため、出かける際の自分のスタイルが日に日にスマートになっていっているような気がする。あのお店にはコートかけがないからずっと着ておけるような軽いコートにしよう、今日は◯◯だから1番小さなカバンで行こう・・・など、どんどんとシンプルになってゆく。どおりでカバンを持たない「手ぶらニューヨーカー」が街中に多いわけだ!トイレにカバンかけのフックがないから。なるほど。

著者のプロフィール

ナガタミユ(Miyu Nagata)エディター/ダンサー

兵庫県出身の27歳。幼少期に観た「コーラスライン」をきっかけに舞台芸術の世界にどっぷりハマって以来、20年以上踊り続けている。また、日本の出版社で編集者として活躍したのち「書いて、踊る編集者」としてさらなる飛躍を遂げるため、2024年8月から拠点をニューヨークに移す。

過去のエピソード

Vol.1 ニューヨーカーは、なぜブックカバーを使わない

Vol.2 居酒屋デートの概念がない街

Vol.3 遅延だらけのサブウェイを乗りこなすコツ

Vol.4 街にあふれるレディファーストな男性たち

Vol.5 アメリカには存在しない便利アイテム

Vol.6 日本のトイレにあったアレ

Vol.7 最近よく耳にする「ソーバー」という言葉

Vol.8 バレンタインは男性が頑張る日?

Vol.9 この街には「地下鉄のヒーロー」が存在する

RELATED POST