トランプ大統領がカナダ、メキシコ、中国に対して関税を発効した。各国は報復関税を課す意向で、貿易戦争に突入した。そうした中、ニューヨークの市民生活やビジネスに対する悪影響を懸念する声が高まっている。amニューヨークが3日、伝えた。

関税はカナダ、メキシコに対して25%。中国に対しては追加関税を20%に引き上げる。対象となる輸入品は年間9000億ドル相当。関税はウォルマートを含むアメリカの輸入業者がまず支払う。それを製品の価格に転換すれば、価格が上がり、われわれ消費者が負担することになる。
アメリカはカナダやメキシコからは原油を輸入している。ガソリンの値段が数日内に40セント上がるとの予想がある。メキシコからは野菜や果物、カナダからは牛肉や穀物、中国からは鶏肉や大豆が入ってくるから、スーパーの生鮮食料品が値上がりする。さらに、中国からの衣料品、玩具、雑貨類にも影響が及び、インフレに拍車がかかる。
ニューヨーク州がカナダから輸入する製品は年間228億ドル。3分の1が工業用金属や貴金属だ。農産物が13%、エネルギー製品と自動車を含む輸送機器がそれぞれ10%と続く。さらに、ニューヨーク州からカナダへの輸出も298億ドル。そのうち103億ドルは金融などのビジネス関連サービスだ。カナダとの貿易は州内で52万人以上の雇用を創出している。
メキシコに対しては輸入も輸出も約35億ドル、ニューヨーク州は飲料、電気製品、部品、コンピューター、プラスチック製品などを輸入する。輸出するのはエンジン、タービン、送電機器、樹脂や人工皮革など。メキシコとの貿易は州内で32万8000人の雇用を創出している。
1世紀前の大恐慌時でも関税の影響で景気はさらに悪化した。トランプ氏が関税発動を「避けられない」と発言した3日、株式市場でダウ平均株価は1.5%、他の金融市場も打撃を受け、ナスダックは2.6%下落、S&P 500は1.7%急落した。
編集部のつぶやき
トランプ氏は、メイド・イン・アメリカ製品に課税する国々に対しても、4月2日から報復関税を発動すると宣言。過去の“報復関税合戦”は世界恐慌を引き起こし、第2次世界大戦勃発の要因の1つにもなりました。経済も外交も「恫喝」で進めるトランプ政権、その尻拭いは一般市民に。(A.K.)
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