共同通信

北海道旭川市の陶芸家工藤和彦さん(54)は、道内で取れる材料を生かした作陶にこだわっている。約30年前、信楽焼が有名な滋賀県から旭川の約35キロ北にある剣淵町に移住後、地元の粘土に魅せられ自ら掘るように。今はどこにいても各地の材料が簡単に手に入る時代だが「地域、風土に根ざしたものを作りたい」と語る。(共同通信=星井智樹)
神奈川県小田原市出身。工業高校の美術部で、指導教諭らが陶芸に没頭する姿に面白さを感じ、休日には備前など焼き物の産地を巡るほどのめり込んだ。
後にNHK連続テレビ小説「スカーレット」で女性陶芸家の草分けとして奮闘するヒロインのモデルにもなった、信楽焼の陶芸家神山清子さん(故人)と交流する機会があり、高校卒業後の1988年に弟子入り。技術的な指導はほとんどなかったが、「人のふんどしで相撲を取るな」と教わった。「自分のオリジナリティーを大切にしろ、ということだと思う」
滋賀県の障害者施設の陶芸指導員を経て1993年、福祉施設の施設長に誘われ剣淵町に移住。地域に分布する粘土層は「2億年前の鉱物を起源とする土がユーラシア大陸から飛来、堆積してできた」といい、魅力を感じて使い始めた。大地に敬意を込め、自分で掘るのが流儀だ。
退職後、広い工房を求め旭川へ。まきとして燃やしたシラカバの灰や、オホーツク海沿岸の紋別市渚滑町で取れた石を釉薬の材料にして樹皮や海の色を表現するなど、北海道ならではの作陶にこだわる。
2016年、アメリカ・ニューヨークで開かれた展覧会に参加したのを機に海外でも認知され、注文が殺到するようになったが、「商品ではなく作品」との気持ちを一つ一つに込める。
「地元のものが立派な器になり、誇りだ」と声をかけてくれる住民もおり、「使う人だけでなく地域の人も喜んでくれる」と顔をほころばせた。


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