マイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダー、ダイアナ・ロスなど世界的に著名なアーティストを数多く輩出してきた、ニューヨークの伝説オーディションライブ「アマチュアナイト」。1934年から劇場「アポロシアター」で続く同コンテストに3月12日、日本からの刺客が現れた。

◆ 容赦のない観客からの「評価」
アメリカンドリームを掴みたい、スターへの登竜門として知られる「アマチュアナイト」。事前のオーディションを経てこの舞台に上がり、舞台に立った後の評価はすべてその場にいる観客に委ねられるというのが同コンテストの特徴。

パフォーマンスが良ければ、拍手喝采にスタンディングオベーションで夢心地を味わえるが、万が一観客の期待に添えなかった場合は、会場からの一斉ブーイングを食らい強制退場をさせられるという、伝説の舞台であるからこその「相当な覚悟」が必要なコンテストなのだ。

◆ 日本を代表してやってきたのは…
今回はそんな「アマチュアナイト」への出場権を賭けた日本予選が2024年夏から秋にかけて行われ、「本場で挑戦するチャンスを得たい」と合計839組のパフォーマーが応募。その中から勝ち抜いた2組がこの日、ゲストとしてコンテストの最後にパフォーマンスを披露した。
選ばれたのは日本が誇るオタ芸で、Youtube登録者数538万人と人気を伸ばし続ける「ゼロから打ち師始めます。」と、弱冠12歳ながらにも長けた身体能力で圧巻のダンスパフォーマンスを魅せる戸辺葵(とべあおい)さんが出演。


通常のコンテスト枠ではないので、「ブーイングはなしね、愛を持って迎えてあげて」とMCから紹介があり、観客のボルテージは高まっていく。まずは戸辺さん、12歳とは思えぬ多彩な表現で、途中衣装チェンジで観客もしっかり沸かせ、圧巻のパフォーマンスを行った。
次に、お待ちかねのオタ芸集団「ゼロから打ち師始めます。」が登場。ステージの照明がつくなり、さっそく一糸乱れぬフォーメーションダンスで観客の「おぉ〜〜」を引き出し、ペンライトを巧みに操り、光の弧を描きながら踊る姿には、始終観客からの熱い視線が注がれた。最後のポーズが決まると大きな拍手が贈られ、「アマチュアナイト」の大トリに相応しいオタ芸を披露した。

ニューヨーカーにとっては、おそらく初となる生での「オタ芸鑑賞」。反応が気になったので、終演後、会場で何組かにインタビューしてみると、全員口を揃えて「We loved it(最高だった)」と大絶賛。「今回彼らを初めて見たけれど、すっかり虜になってしまった。家に帰ったら息子に彼らのパフォーマンスを見せてあげるつもり。きっと気に入るわ!」と、興奮した様子で語ってくれた。
取材・文・写真/ナガタミユ
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