ニューヨーク市は14日、昨年1〜9月の間に公有地で野宿するホームレスからテントなど2300張を撤去して約3500人を一掃したと発表。しかし、撤去に350万ドルもの費用がかかったにもかかわらず、ホームレスシェルターに収容したのはわずか114人に過ぎず、恒久的な住居に移された人は1人もいなかった。ゴッサミストが16日、伝えた。

市の担当者によると、ホームレスにシェルターの利用を納得させるには時間がかかり、市が提供する住宅の空室率が1.4%と低いため、住宅の選択肢は限られているという。また、恒久的な住宅の選択肢や住宅バウチャーを得るには書類や身分証明書の提出が必要であり、その場で即日対応することができず、ハードルはさらに高くなっている。
市のウィリアム・ファウラー報道官は「アダムズ市長は施政方針演説でホームレス対策に6億5000万ドルを用意すると発表した。移民の聖域都市としてベッド900床を増やす予定だ」と説明。ファウラー氏によると、市内のホームレスの97%はシェルターで暮らしており、アダムス政権は他の支援活動を通じて8000人を地下鉄から一時的な住居へと移す支援を行ってきたというが、結果が目に見えているとは言い難い。
野宿のホームレス一掃の頻度や費用、効果について報告を義務付ける法案を提案した、サンディー・ナース市議会議員(民主)は「永久的な住宅を提供できなければ、野宿の一掃も成功とは言い難い。『見えなくなれば、忘れられる』という表面的な戦略だ」と批判。ホームレス支援団体のセーフティー・ネット・アクティビティーズのエドワルド・ベンチュラさんも「ホームレスを他の路上に移しているだけ。ホームレスの生活を脅かすことより、永久的な住宅を提供することに市の予算を使うべきだ」と主張している。ベンチュラ氏は元ホームレス。市にテントを撤去されたことがある。
野宿一掃には市警(NYPD)の他、清掃局(DOS)、公園局、ホームレスサービス局の職員ら1万人が参加。テントやダンボール箱を撤去した場所の71%は以前も同様の作業が行われており、過去に200回も作業が行われた場所もあった。
編集部のつぶやき
ホームレスを追っ払って見えないようにしているだけで、何の解決にもなっていないということですね。(A.K.)
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