ニューヨークのデリやボデガ(小型食料品店)で見かける猫たちは一日中のんびりと過ごしているわけではない。彼らには立派な任務がある。ネズミのパトロールだ。しかし、食品を扱う店に動物を置くことは州法で禁止されており、店主たちは「ネズミを放置して罰金を受けるか、猫を飼って罰金を受けるか」というジレンマに直面している。17日付ニューヨークタイムズがボデガキャットが抱える「矛盾」をレポートしている。

この状況を改善しようと立ち上がったのがダン・リマダさん。パンデミック中にインスタグラムのアカウント@bodegacatsofnewyorkを立ち上げ、ボデガキャットを合法化するためのオンライン署名活動を開始。定期的な獣医検診や予防接種、避妊・去勢手術、適切な食事、安全な「猫ゾーン」の設置など「明確な人道的基準を満たす」ボデガのオーナーを対象とした認定制度も提案し、これまでに9200人以上の支持を集めている。リマダさんは市議会議員に嘆願書を提出したが、努力が報われるかは疑問だ。市議会や保健精神衛生局(DOH)はこの問題に関与しておらず、DOHは主にレストランの検査を行い、デリや食料品店は州の農業市場局が管轄しているため、市議会の関与だけでは規制の変更は困難だからだ。
一方、店主や地域住民の多くはボデガキャットを支持している。ある店では、猫がいることでネズミ被害がなくなり、さらに客からも愛される存在になっているという。客寄せの効果もある。しかし、一部の猫は外で捕まえたネズミを店内に持ち込んでしまうこともあり、その対応に苦慮する店主もいる。
ニューヨークのボデガキャットは、都市ならではのユニークな文化の一部だが法的には曖昧な立場にある。この問題をどう解決するかが今後の課題だ。
編集部のつぶやき
ボデガキャットは客寄せ効果抜群ですね。ニャンコに釣られてついふらふらとお店に入ってしまうわたし。(A.K.)
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