トランプ大統領が教育省を廃止する大統領令に署名したことで、1兆7000億ドルの学生ローンの行方を巡り、混乱と不安が広がっている。ウォール・ストリート・ジャーナルが20日、伝えた。

連邦政府による学生ローン(FSA)の対象は大学生。現在約4500万人が借りている。申し込みの受付、支給、返済や返済猶予など、管理しているのは教育省だ。教育省廃止となれば、その業務を財務省や中小企業庁に移管する可能性がある。ローンの条件等は変更になることはない。返済義務は継続する。しかし、ブルックリン在住のパーフォーマーで学生ローンの残高が10万ドルというオリビア・ハーディーさん(26)は「貸し手が消滅すれば、ローンも消えるはず」と主張。混乱が生じている。また、返済業務を委託しているサービス会社との契約も変更されることになる。その際、プロセスの遅延などが生じる恐れがある。
トランプ政権の政策アドバイザー、保守派ヘリテージ財団のプロジェクト25は、学生ローンの民営化を提唱している。民営化されれば、審査は厳しくなり、金利も上がる可能性がある。この1月にリバティー大学神学部で勉強を始めたデイビッド・テイラーさん(39)は1学期に2500ドルのFSAを利用する。「もし金利が上がれば、勉強を続けることはできない」と危惧している。
バイデン政権下の低所得者優遇措置の実施も不明だ。連邦裁判所は一時的な実施差し止めを認め、教育省のホームページからも申し込みプロセスが削除されたままだ。学生ローンのコンサルタントは、返済サービス会社からのメールや書簡に常に注意することはもちろんだが、最新の連絡先を知らせておくこと、返済状況を独自に追跡するなど努力が必要だとアドバイスしている。
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