共同通信

コンピューターゲームなどの腕を競う「eスポーツ」が市場規模を拡大する中、普及に向けた動きが和歌山県で広がっている。県は判断力の向上など教育的効果もあるとして、高校の部活動の指導に外部コーチを派遣し、eスポーツの「聖地化」に挑戦。不登校だった高校生は交流の場にしたいと、起業して本格的なレーシングゲームを体験できる施設を開設した。(共同通信=菅家光太)
2月上旬、和歌山市で開かれた「和歌山県高校eスポーツ選手権」。対戦競技は、5人一組で陣地を取り合う「リーグ・オブ・レジェンド」で、参加者はヘッドホンを着けて、仲間に呼びかけながら勝利を目指した。
優勝したのは県立星林高のチーム。キャプテンの2年寒川湧斗さん(17)は「想定外のことも起きたが、意思疎通を図って臨機応変に対応できた」と喜びを語り、外部コーチ派遣といった県の取り組みを「ありがたい」と強調した。
県が2024年度予算で、県立高校が「eスポーツ部」を設置する際の環境整備費用として計上したのは1626万円。外部コーチの招聘など支援を進めた。県がeスポーツの部活動を全面的に支援するのは全国的にも珍しいという。
元プロ選手江夏義昭さん(31)は昨年7月から、コーチとして週に一度高校生を指導した。「試行錯誤しながら、壁を乗り越える経験を積んでほしい」と話す。
eスポーツ普及に向け、草の根の動きも出てきている。不登校を経験した通信制高校3年の諏訪光夢さん(18)は、高性能レーシングシミュレーションゲームなどを20分1200円で楽しめる施設を和歌山市に開設した。
中学時代に血圧が低く立ち上がるのが難しくなる起立性調節障害を患い、学校に行きづらくなった。心の支えになったのは友人とのオンラインゲームだった。
「eスポーツで社会に貢献したい」。施設には不登校の子や高齢者が孫と一緒に来るなど、多様な利用が広がる。諏訪さんは「幅広い世代が交流できる、活気ある場所にしたい」と意気込んだ。
◎eスポーツ
エレクトロニック・スポーツの略。パソコンやスマートフォン、家庭用ゲーム機などを使ったゲームの他、身体運動を伴う「バーチャルスポーツ」がある。若者人気を背景に国際的に市場が広がり、日本eスポーツ連合は、国内の市場規模も2025年には21年の2倍以上の217億円に拡大すると見込む。高齢者の認知症予防に活用する動きもある。



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