ニューヨークでの生活では驚きが「スタンダート」と化している。筆者は27歳、この夏憧れのニューヨークにやって来た新参者だ。日本(神戸)で人生の大半を過ごしたせいか、いちいちビックリするようなことが毎日のように起こるので、文化の違いやカオスな出来事を中心にポップにつづっていくことにした。
〜 褒めるときは全力で 〜
ニューヨークの好きなところはたくさんあるが、その一つに「人を褒めること」がある。ニューヨーカーは基本的に他人のことには興味がないが、良いと思ったら全力で褒めスイッチをオンにして、”いかにそれが素晴らしいか” を伝えてくれる。

この間、イヤホンで音楽を聴きながら街中を歩いていると、何やら後ろにものすごい大きな声で叫んでいる人がいる。「朝から元気だな」と思いスルーしながら歩いていると、その声はどんどん大きくなってくる。流石にちょっと怖かったので、イヤホンを外して振り返ってみると「あなたのブーツが可愛すぎる」と。
「え?それを言うために、張り裂けそうなくらい大きな声を出して、わざわざ私が気がつくまで叫び続けていたの?」ニューヨーカーのエネルギーは半端ない。話を聞くと、どうやら筆者が履いていたブーツが彼女が探していた理想のブーツだったようで、ブランドや生地、サテンのリボンになった靴紐の部分についてなど、詳しく教えてあげた。
ちょっぴり気が乗らない日でも、街に出て誰かに「あなたのアウトフィトいいね!」と声をかけてもらうだけで、なんだかハッピーな気持ちになる。なので、テンションが上がらない日はあえてお気に入りの服を着て、「褒めてもらいにいく」ことだってある(笑)。
筆者のワードローブの中に「白いファーベスト」があるのだが、これは昔ニューヨークに遊びに来たときに古着屋で一目惚れをして購入したもの。これを着ていると、自分の気持ちも上がるし、10割8分で「ナイスアウトフィット賞」をもらえるので、一軍ジャケットとして大切にしている。

と、この話を以前とあるコメディアンへの取材で話していると、彼がこんなことを言っていた。「僕の知り合いは、よく街なかで『かわいいね』とか声かけられるらしいんです。でもそのことについて、『服というよりも私はこういう人間なんだということを主張している人に、ニューヨークの人は敏感に反応する』と言ってて。そう考えたときに、この街に住んでいる人は育ってきた背景や宗教がバラバラだからこそ個人に強く惹かれるところがあるということに気がついた」
可愛い服はもちろんだけれど、”魅力的なマインド” を纏っていることもニューヨーカーが褒める理由なわけだ。
著者のプロフィール

ナガタミユ(Miyu Nagata)エディター/ダンサー
兵庫県出身の27歳。幼少期に観た「コーラスライン」をきっかけに舞台芸術の世界にどっぷりハマって以来、20年以上踊り続けている。また、日本の出版社で編集者として活躍したのち「書いて、踊る編集者」としてさらなる飛躍を遂げるため、2024年8月から拠点をニューヨークに移す。
過去のエピソード
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