グローバルに活躍するビジネスリーダーの育成に力を入れる「横浜市立南高等学校」のスーパーグローバルハイスクール事業。今回は6名の生徒がニューヨークを訪れ、国連本部やコロンビア大学、在ニューヨーク日本国総領事館などを訪問。この街で活躍する企業家の話を聞く機会もあった。

今回デイリーサン・ニューヨークが取材をしたのは、6名の生徒、そして同じく横浜出身で、ニューヨークで女性起業家として飛躍する徳重真梨子さんとの対談。「海外への漠然とした興味はあるが、何から始めたらいいかわからない」そんな悩める生徒たちを前に、ガッツと緻密な計画力で自らの道を切り拓いた徳重さんから、貴重なレクチャーが行われた。

◆ 「行動しないと何も始まらない」
日本のギフトやファッション、雑貨、ライフスタイル製品のホールセールビジネスをサポート、北米初の日本商材に特化した展示会「DEKO BOKO」を主催する徳重さん。「人と話すことが好き」「ファッションが好き」という特性が今の仕事につながっているといい、日本にいたときから「舞台衣装一筋」な日々を送ってきた。
大手電気メーカーに勤めていたお父さんの影響で海外に興味を持ち始め、学生時代は服飾の専門学校に通い衣装作りを学ぶ。19歳の時に語学留学で訪れたニューヨークをきっかけに、「必ずここで仕事がしたい」と “10年計画” を立て、27歳のときに文化庁から新進芸術家海外研修制度を利用して、現地の衣装製作会社でインターンを開始した。

扱う衣装はブロードウェイや名作「Radio City Christmas Spectacular」のコスチュームなど、本場のエンタメ最前線の仕事で、言語はもちろん全て英語。「最初は家に帰って泣く日が続いたりしていましたが、行動しないと向こうから何も入ってこないので、できないながらにも『負けないぞ』というやる気、熱意を持って取り組んでいましたね。飛び込んでみたり、最初の一歩は怖いけれど、やらないよりはやった方がいい。とにかくやってみる」
◆ 「計画通りに行かなくても、軌道修正をしてもいい」
その後、アーティストビザを取得し、正式に就職。順調にキャリアを積んでいく中で、コロナ禍に突入。その時に感じた燃え尽き症候群などをきっかけに、人生の軌道変更を試み、たまたま声がかかったジュエリーの卸売業を手伝うようになったという。
「計画や目標は常にビジュアル化して、なりたい自分を明確に。そしてその都度記録をして、後で振りかえることができるようにする。でもすべて計画通りに行かなくても、軌道修正をしてもいい。私もたくさん軌道修正したし、失敗もしてきたから。でも迷ったときのために、アドバイスをくれるメンターを持っておくのは大事だと思っています」

「営業」という面が徳重さんの中にプラスされ、さまざまな展示会でアメリカを飛び回る中で、日本の製品を代理でアメリカに広める「日本からの需要」にも気づいたという。それが今の事業「ノース・レーン・インターナショナル」に繋がり、日本のクリエイターとアメリカにおける”架け橋”となった。
「アメリカに来て約20年が経ちますが、自分の人生が好きだし、これからも人生の価値は自分で作るものだと思っています。このように私自身の経験をお話するのは今回が初めてでしたが、みなさんには頑張ってもらいたいですし、私もパワーをもらえました」
徳重さんの柔らかくも、野心に溢れたレクチャーに生徒たちは始終メモを取りながら、時には深く頷き、熱心に聞き入っていた。
取材・文・写真/ナガタミユ
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