「今流行りのやつやってみた!」こんなコメントとともにに、SNSに溢れるスタジオジブリ風の画像。セルフィーやカップルの写真などがたった数秒で、あの温かみのある独特なジブリのような世界観に落とし込まれることから、SNSユーザーを虜にしている一方で、「クリエイターへの侵害」との声も上がっている。

OpenAIが3月25日に最新モデル「GPT-4o」をリリース。その一部に、写真やイラストから画像を生成する機能も含まれており、高いスキルを持っていなくとも、chatGTPに特徴や雰囲気などを伝えるだけ、すぐにイラストが完成する。ちなみに「ジブリ風」イラストのトレンドは、シアトル在住の男性が、たまたま家族で撮影した写真を投稿したことから始まった。
「ジブリ化した写真を奥さんに送るの、すごくイケてるよね?」この投稿は5000万回表示され、4.5万のいいねがつくなど、瞬く間に広まり、さまざまな著名人やOpenAIの仕掛け人サム・アルトマン(Sam・Altman)までもプローフィールのアイコン画像を「ジブリ風」に変えるなど、世界のトレンドと化した。

だが、このトレンドが広まるや否や、聞こえてくるのは「クリエイターへの侵害」。創設以来 ”手書きアニメーション” を貫いてきたことでも有名なスタジオジブリの世界が、AI技術によりたった一瞬で再現されてしまうこと、そして何よりデジタル技術に慎重な考えを持つ宮崎駿監督の意に反するものだと、ネットからは「違和感しか生まれない」「アートを破壊している」といった声が上がっている。
2016年に放送されたドキュメンタリー番組「終わらない人 宮崎駿」(NHK)では、AIを用いたCG映像に対し、「生命に対する侮辱を感じます」と強い拒否感を示していた宮崎監督。過去にインタビューで語った「ぼくには、鉛筆と紙があればいい」という言葉も名言として知られている。
長い年月をかけて築き上げてきたクリエイターのスタイル、作品、名誉が一瞬で模倣ができてしまう時代。今回は「ジブリ化」で注目を浴びたが、ほかにもディズニーやピクサー、そして2023年12月にはニューヨーク・タイムズの記事が無断でAIモデルの学習に使用されたとして、裁判沙汰になっていた。
「便利だから」「楽だから」「流行っているから」といって気軽に利用するのもいいが、その情報や作り出されたモノはどこから来て、それを使用したことによりどのような影響を及ぼすのか? 一般人の我々も今一度考える必要がある。
文/ナガタミユ
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