2025.04.10 DAILY CONTENTS NEWS

週末の待ち時間は3時間という噂も!? NYで今熱い日系ジャズバー「トミジャズ」の魅力とは

ミッドタウン・イーストにある日系のジャズバー「トミジャズ」が、今熱いという噂を聞きつけた。もともとは日本人オーナーのトミさんが立ち上げたこの店。トミさんが亡くなった後、形を変えて再出発した「トミジャズ」は、SNSや口コミを中心に広がり、いまや平日でも開店前から行列、週末には3時間待ちということもある人気スポットになっているという。何がそんなに人気なのか気になり、その秘密を探るべく潜入してみた。

トミジャズの入口

列に並ぶその瞬間から、ワクワクが始まっている

ミッドタウン・イースト53丁目のビルの一角、「Tomi Jazz」の看板とひっそり佇む入り口を見つける。午後7時スタートの回を目指して6時半に到着すると、既に10人ほどの行列ができていた。といっても月曜ということもあってか、週末よりだいぶ少ないとのこと。「週末に1時間半並んだけど、入れなくて今日はリベンジなんだ」とか「ここずっと来たかったんだ、月曜なら入れるかもしれないと思って」などなど、並んでいる人たちの会話が聞こえてくるが、みんな「トミジャズにどうしても来てみたかった!」という外国人(日本人は私達だけだった)たちばかりだ。

階段を下りた先に入口がある

待っている間に少しずつ列が進み、狭い階段を下りて半地下にある入口が近づくと、ジャズの音が漏れ聞こえてきた。その音を聴いているだけで、気分はすっかり“ニューヨークの夜”モードになる。派手な入口ではない分、余計に秘密基地に行くような気分になる。この演出のようなアプローチが、すでにトミジャズの世界観の入り口なのだ。

中に一歩踏み込むと、そこは「大人の秘密基地&居酒屋ジャズバー」

期待に胸を膨らませて一歩中に入ると、どこか懐かしい感じがした。雰囲気が、日本のワイガヤ系の居酒屋なのだ。でもすぐに気がつく。ただの懐かしい日本の居酒屋じゃなく、ジャズとレトロモダンなインテリアが混じり合って、どこかノスタルジックな異空間に迷い込んだような感覚なのだ。

トミジャズの店内

店内は、オーナーが集めたという機関車などのレトロなおもちゃ、ビンテージポスター、アンティークの照明、ウッド調の家具が絶妙なバランスで、どこから見てもセンスがいい。

客席と演奏ステージの距離が近く、目の前で奏でられる臨場感。演奏するミュージシャンの多くが日本人というのも、特筆すべきポイント。どこかホッとするような親近感がありつつ、他の国の人たちにとっては「日本の良さ」を音楽を通じて感じられる瞬間でもあるのかもしれない。合間に演奏者が話しかけてくれることもあって、その距離の近さがまたうれしい。そのアットホームな雰囲気に、隣に座った人とも「Where are you from?(どこから来たの?)」と自然に会話が生まれる空気感がある。「ニューヨークに住んでるんだけど、彼女が来たがってて」とか「旅行中にインスタで見つけて」なんて話す人が多いのも、「トミジャズ」らしい光景だ。

トミジャズの魅力は、なんといっても食事にあり

食事が始まって、さらに「トミジャズ」が人気の理由が分かった。和の“懐かしさ”が息づくメニュー。このお店、実は食事がめちゃくちゃ本格派。特に人気なのが、明太焼きうどん($17)、デミグラスソースがとろけるオムライス($18)、カレーライス($16)など。どれも「ジャズバーでこの味!?」と驚くほどの完成度なのに、この価格。居酒屋で食べるあの“安心する味”が、ここニューヨークの地下空間で味わえるという驚きがある。

モチモチ食感の明太焼きうどん

その他にも、ウニやカニのクリームコロッケ、スパムおにぎり、焼きめし、天津丼、ハヤシライス、焼きうどん、シーフードスパゲティなど、懐かしいメニューが並ぶ。もちろん、ヴィーガン、グルテンフリーなど多様な食事スタイルに対応しているのも、ニューヨークらしい気配り。

コロッケは揚げたてでサクサク

締めはやっぱりスイーツ。抹茶アイスやあずきが添えられたハニートーストは、日本人にとってはまさに“懐かしさの塊”。韓国人や中国人などアジア系のお客さんにも大人気で、インスタ映えも抜群。

ハニートーストが美味しすぎて、食事のあとでもペロリ

ドリンクにも注目したい。驚くのは種類の豊富さだ。ジャパニーズウィスキーは約70種類以上、山崎、白州、響をはじめ、希少な銘柄までそろっていて、通も初心者も楽しめるラインナップ。また、日本酒も約30種以上あり、純米、吟醸、大吟醸、スパークリングまで多彩。地方ごとの味の違いを楽しむこともできるので、試してみたくなる。

実際に、居酒屋風な利用として食事を目的に来ている人も多いのではないかと思う。実際SNSも食事の投稿が多いことに改めて気づく。

デートにも、ひとりの夜にも、友人との集まりにも。どんなシーンでも肩肘張らずに過ごせるこの空間は、まさに「大人の秘密基地・居酒屋ジャズバー」という言葉がぴったり。実際、SNSでは「#speakeasy #izakaya #jazz」などのハッシュタグで紹介する人が多く、この店の雰囲気に、ワクワクする人が続出中だ。

「トミジャズ」は、音楽と食、そして人との出会いが交差するニューヨークでも唯一無二の場所。日本の空気をまとったこの小さな空間が、なぜこれほどまでに愛されるのか。その理由は、行ってみれば分かる。

取材・文・写真/藤原ミナ

Tomi Jazz

住所
239 E. 53rd St.
営業時間
月~木 17:00-1:00am
金~日17:00-3:00am 
公式サイト
https://www.tomijazz.com/

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