【4日付ニューヨークタイムズ】ニューヨーク州で昨年10月、過去に刑事事件で有罪判決を受けた人の犯罪記録を封印する「抹消制度」が州法で施行となったが、5月末の時点で同制度の利用者は346人と、予想を下回っていることが分かった。
法律扶助協会が推進する同制度は、犯罪歴を持つ人の雇用機会向上が目的。有罪判決を受けてから10年以上が経過した人は裁判所に申請することで、過去の犯罪記録を抹消することができる。しかし、2件以上の軽犯罪、1件の重犯罪と1件の軽犯罪、暴力犯罪、性犯罪など特定の罪で有罪判決を受けた人は対象とならない。
犯罪記録が一度抹消されると、法執行機関や銃器を扱う職の雇用主を除いて、公文書上での犯罪歴を見つけることは不可能だ。ただし、米労働省によると、就職の面接で犯罪歴を聞かれた場合、抹消されていない有罪判決については開示義務があるという。
同制度利用者のうち約3分の1はニューヨーク市民だという。非営利の人権擁護団体、ブロンクス・ディフェンダーズ・サービシスのウエズリー・ケインズさんは「情報不足が、新しい法律を人々に知らせるための啓蒙活動を困難にしている」と分析した。