アフリカ系低所得住人を差別 退去迫り、ネットに「貧民」

 【12日付amニューヨーク】一部を低所得者向けに賃貸するスタテン島の集合住宅、アービーの住人および元住人3人は11日、同住宅が低所得のアフリカ系住人を差別し不当に退去を迫ったことが公正住宅法および人権法違反に当たるとして、損害賠償を求め同住宅を連邦裁判所に提訴した。
 訴えによると、同住宅の管理事務所は「好ましくない住人」の名簿を作成、警備員に名簿に載った住人を厳しく監視させ、本人が身に覚えのない違反を住宅裁判所に届け出、退去を迫ったとされる。原告の1人、リンチェル・アディソンさんによると、「好ましくない住人」の名簿の全員はアフリカ系。アディソンさんは名簿について管理事務所に問い合わせた直後に住宅裁判所に召喚され、退去を勧められたという。
 同住宅の一部の住民は、昨年春ごろからインターネットに「ここは貧民でいっぱい」「騒がしく貧しい、生活の質を台無しにする低所得者であふれている」などと低所得層を標的にした書き込みを投稿していた。
 同住宅は20%以上を低所得者向けに提供。差別がないことを毎年証明することを条件とする、連邦低所得者住宅税額控除などの優遇を受けている。