「英才児教育を中学校にも」条例案 スペシャライズド高校の人種偏向問題

 【7月30日付ウォール・ストリート・ジャーナル】ニューヨーク市内で現在は小学校のみで導入されている「英才児」教育、ギフテッドプログラムを中学校にも拡大する条例案を、トニー・アベリャ州上院議員(民主)が7月27日、市議会に提出した。高度な教育を行うことで知られる市の「スペシャライズド高校」への入学の機会を高めることが目的としている。
 アベリャ議員はアジア系住民が多いクイーンズ区第11地区の選出。同条例案は 市内の32学区全ての中学校において同プログラムを実施する他、全ての小中学校に成績優秀な児童、生徒のための「上級クラス」を、各学年で4クラス設置することを義務付ける。
 スタイブサント高校やブロンクスサイエンス高校など市内8つのスペシャライズド高校への入学は現在、SHSATと呼ばれる試験の成績のみで決まる。これに対しビル・デブラシオ市長は、同8校に黒人やラテン系の生徒が少ないのは試験が障壁だとして今年6月に廃止を模索、代わりとなる入試制度を提案している。
 今回の条例案提出はSHSAT試験の存続を求める団体の支援を得たもの。アベリャ議員は全ての小中学校に「上級クラス」があった1980年代にはスペシャライズド高校で人種偏向が少なかったとの調査結果に言及。SHSAT試験を廃止するのではなく、地域の生まれつき能力の高い子どもを支援するべきだと主張している。