【10日付amニューヨーク】ライカーズ島刑務所の受刑者による絵や詩、約80点がマンハッタン区チェルシーにある「スクール・オブ・ビジュアル・アーツ(SVA)」のギャラリーで一般公開されている。11月16日まで。
ニューヨーク市の矯正保健サービス部門は10年前から、受刑者を対象に精神的苦痛を軽減しようと、クリエイティブ・アーツ・セラピー(芸術療法)を毎年実施、展覧会を開催してきた。責任者のレスリー・アチトフさんは「(受刑者が)誰の目も気にせずに自分を自由に表現でき、人間性回復の一助になる」と効果を語る。
今年のテーマは、「私自身」。会場に並んだ作品には、自分を顧みたイメージが投影されている。例えば、色彩豊かに描かれた人魚の絵。その上には「感情に流される」「とらえどころがない」とペン書きされている。悪魔の角と聖人の後光とを持つ男性の絵からは、苦悩に引き裂かれる受刑者の心がうかがえる。
芸術療法に参加したハイシーム・マッキンドー元受刑者(21)は、17歳で強盗罪で有罪判決を下され、9カ月服役。「刑務所内は想像力を吸い取るような環境。それでも、自分の芸術性を信じて書き続けた」と振り返る。現在は、野鳥保護団体、全米オーデュボン協会が主催する公共彫刻プロジェクトで働いている。「受刑者が自分を信じて、懸命な努力で仕上げた作品は迫力が違う」と話した。