L線閉鎖、取りやめ?  クオモ知事が発表、困惑招く

 【4日付ニューヨークタイムズ】今年4月から一部閉鎖が予定されていた地下鉄L線について、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は3日、閉鎖を取りやめ、夜間と週末の運行を制限する新計画を発表した。ただし、同知事は4日になって記者団を前に、計画の変更には州都市交通局(MTA)の承認が必要だとし、理事会を緊急召集したと明かした。
 当初は、2012年のハリケーン「サンディ」で損傷したトンネルを修復するため、4月27日から15カ月間にわたりマンハッタン区のL線8番街駅からブルックリン区のベッドフォード街駅までを全面閉鎖する計画だった。新計画では、平日はL線を通常通り運行し、夜間と週末に路線を片側ずつ閉鎖し修復工事を行う。夜間と週末にも本数を減らして上り、下りともに運行を続ける。欧州から取り入れた新技術を用いることで、全面閉鎖を回避しての修復が可能となったという。工事の開始日は発表されていないが、工期は15カ月から20カ月に及ぶ見込みだという。
 2016年に閉鎖計画が発表されて以来、他路線の増便の他、高速フェリーやバス、自転車シェアサービスなど、L線閉鎖に伴う代替交通手段が準備されてきた。同知事の突然の発表を受け、ニューヨーク市交通当局などは困惑気味だ。新計画の工費など詳細が明らかにされていない他、新技術は米国での導入例がないという。代替交通として用意されてきた計画は、取りやめが決定したものもあれば依然検討中のものも。交通啓蒙団体などは同知事が一方的に計画変更を決めたのではないかと勘ぐっているという。
 L線沿線の住民の中には転居を余儀なくされた人も少なくない。ブルックリン区ブッシュウィックから同区クラウンハイツに引っ越したというアンドリュー・クラウィターさんは「発表があってから1時間ほど(驚きのあまり)言葉が出なかった」と怒った。沿線に拠点を構える企業では、閉鎖に伴い転居できない従業員を解雇したところもあった。