2012年に米東部を襲ったハリケーン「サンディ」により破損した車両の補償を巡り、ニューヨーク市運輸局(DOT)が虚偽の申請を行っていたとして、市は20日、530万3624ドル(約5億8700万円)を米連邦緊急事態管理局(FEMA)に返還することでニューヨーク州南部地区連邦検事局と合意した。
同局がDOTを相手取り起こした訴えによると、DOTの職員は、ハリケーンの被害を受け使用できなくなったとする車両132台のリストをFEMAに提出し、緊急援助プログラムから新車両購入のための補償を受領。しかし申請された車両の多くは、ハリケーン以前から破損していた。
訴えではDOTは同プログラムの規則や要件について職員への研修を怠ったと指摘。被害を受けた車両を認定した職員は、損傷がハリケーンによって直接もたらされたものだとの確認をせずリストを作成し補償申請していたと主張している。
検事局はDOT副局長や市も、車両が損傷した時期や状況について十分に検討せずに申請に至ったとしている。14年6月、虚偽申請に気付いたDOT職員は副局長に報告したものの、検事局の捜査が入るまで継続して補償請求を行っていたという。
DOTは検事局から警告があった16年に補償請求の虚偽申し立てを知ったと主張。捜査に全面的に協力し、再発防止のため数千台に上る車両の追跡システムの導入など、より厳格な手続きを制定したと声明で述べている。