洗車店の元経営者、9億円支払いへ 移民標的に虐待、賃金搾取か

 【22日付ニューヨークタイムズ】マンハッタン区インウッドなど4カ所に展開する洗車店チェーンで賃金搾取に遭ったとして、元従業員が元経営者を相手取り2011年に起こしていた集団訴訟で、裁判所はこのほど、元経営者に未払い賃金850万ドル(約9億4078万円)の支払いを命じた。
 ドミニカ共和国出身の元従業員、マルコス・ディアスさんとジョバンニ・ポーリノさんは11年、洗車店チェーン「JVカーウォッシュ」および姉妹店を、労働基準法およびニューヨーク州労働法違反で提訴。他の従業員がこれに加わり、106人の原告による集団訴訟に発展した。
 同チェーンは年中無休の24時間営業。ニューヨークタイムズが取材した数人の元従業員によると、1日12時間制のシフトで働き、休みは週に1度または無休だった。賃金は1時間当たり4ドル(約443円)で、1日に稼げたのは約50ドル(約5533円)。チップも正しく支給されていたかは不明だ。極寒や猛暑の日も出勤し、手袋も付けずに刺激の強い化学物質を扱わされた。少しでも休憩すると、虐待を受けたという。
 昇給の訴えは無視され、マネジャ―からは「働きたければ働け、働きたくなければ辞めろ」と言われたという。
 同チェーンの従業員はほとんどがドミニカ共和国や中米、西アフリカなどの出身で、その多くが不法移民。専門家によると政府機関への連絡や上司からの報復を恐れて、賃金搾取の標的となるケースが多いという。