「白内障」「緑内障」など、聞いたことはあっても意外とよく知らない目の病気。来米してから一度も眼科にかかったことがない人も多いのでは? 今回は昨年末に新しく開業したアップル眼科の林直美医師と遊馬吉衛門(あそま・きちえもん)医師に目の病気や構造、ドライアイ対策について聞いた。
人種によって違う目の構造
林:人種によって目の構造が違うことを知らない人は多いのではないでしょうか。日本人は眼球の膜が白人に比べて薄い傾向があるため、眼圧が視神経を圧迫しやすく、緑内障になると比較的進行が早いといわれています。
あそま:白人や黒人に比べて日本人に多いのが近視です。近視の人の目は前後に伸びた卵形をしています。また、近視が強い人は緑内障の他、網膜に裂け目ができる「網膜裂孔」や網膜がはがれる「網膜剥離」のリスクも高まります。目の形は一度変わると元には戻りません。
林:当院では視力回復にレーシック手術も行っています。レーシックは目の表面にある角膜の上皮をはがし、レーザーで屈折率を変え、上皮を元通りに整える方法です。角膜上皮を一度はがして元に戻すため、以前は目に強い衝撃がかかったときに上皮がはがれる恐れがありましたが、今では技術の進歩により安心して受けられるようになりました。ただし将来、別の手術をする際に何らかの影響が出る場合があるのでよく考えて決断しましょう。
白内障と緑内障
あそま:白内障は目の「レンズ」部分に当たる「水晶体」が曇ることにより、目がかすんで濁ったような見え方をする病気です。加齢に伴って増え、60〜70代で頻発します。手術をすればほとんどの場合で視力回復が望めます。
林:白内障は40〜50代でも起こり得る病気で、特に糖尿病の人は要注意です。
林:目の中は水槽のように一定量の水(房水)で満たされ、この水の量が眼圧に関係しています。眼圧が上がって視神経を圧迫して傷め、視野が少しずつ狭まっていくのが緑内障です。眼球内に老廃物がたまり、負荷がかかることが眼圧上昇につながります。
あそま:緑内障の怖いところは、初期段階ではほとんど自覚症状がないことです。視野が狭まり、暗点(見えない部分)が出てきたとしても、本を読む、人の顔を見るなど、普段使っている視力にはほとんど影響しません。神経は一度傷つくと戻らないため、狭まった視野は回復できません。気付いたときには手遅れとなり、失明する場合もあります。
林:治療には眼圧を下げる目薬を使います。早期に発見できれば10種類以上の目薬を試して、目の状態に一番合った目薬で症状の悪化を緩和できます。房水の量には少しずつ変化があるので、症状がなくても40歳を過ぎたらぜひ一度、検診することをおすすめします。
あそま:患者のほとんどが日常的にコンピューターを使うなどして目を酷使し、疲れ目やドライアイに悩まされています。目の負担を減らすために20〜30分ごとに目を閉じたり、遠くを見たりして目を休めましょう。特に注意が必要なのが、まばたきです。集中したときに回数が減り、ドライアイにつながります。意識的にまばたきをして目を潤すだけでなく、涙に近い成分の目薬(人工涙液)を使うのも効果的ですよ。
アップル眼科
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