離婚や別居の際に未成年の子どもがいる場合、州のガイドラインを目安に養育費が決められます。しかしせっかく額が決まったのに支払いが遅れたり、滞ったりした場合はどうしたらよいでしょうか? 今回は、ニューヨーク州での養育費の支払い額と強制執行について簡単にご説明いたします。
ガイドラインと支払いの年齢
州のガイドラインでは、子ども1人の場合は支払う親の収入の17%、2人の場合は25%、3人では29%です(*控除あり、また両者の同意により変更が可能)。
養育費は主に子どもと一緒に暮らす親に支払われますが、ニューヨーク州では子どもが両方の親の元で半分ずつ暮らす場合でも片方に養育費の支払い義務があり、この場合は、収入が高い親に支払い義務が発生します。支払いは州の法律では21歳までですが、大学に行く場合は22歳や22歳半などにすることが多いです。
サポートコレクションユニット
(Support Collection Unit)
州で養育費を支払う側の給与から天引きを行っている部署です。しかし養育費が決定しても自動的に登録されるわけではないので、希望者は自分で担当部署に出向いて申請をする必要があります。支払いは銀行振り込みの他、デビットカードでも可能です。
強制執行について
養育費の額が決定されたのにもかかわらず支払いが滞った場合は、離婚の申請をした裁判所、または居住地区のFamily Court(家庭裁判所)で強制執行の申し立てができます。家庭裁判所の方が担当の職員がいるので申し立てが簡単です。申し立て後にはヒアリングが設定され、ヒアリングには両方の親が出廷し、その際にお互いに収入を証明できる書類を用意します。支払いする側はなぜ滞ったかの説明をする必要があります。申し立て人の言い分が通れば、延滞額の支払い命令が出されます。
日本からのヒアリング参加
他州や日本を含む外国に居住していて家庭裁判所に出廷できない場合は、電話での参加も可能です。しかし電話の接続が悪いなどのシステム上の問題もあるので注意が必要です。また、家庭裁判所では希望者には無料で日本語の通訳を手配してくれます(ただし、電話参加の場合は要確認)。
☆記載の情報は現時点のものです。サポートコレクションユニットへの登録や、家庭裁判所の手続の詳細は担当部署または裁判所に直接お問い合わせください。
今月のお店
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ニューヨークで数店舗展開するMamanのトライベッカ店。カントリー調の店内と
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飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。