ボブ・スレードさん、70歳 「黒人の声」取り上げたラジオホスト

 ニューヨークを拠点にしたFMラジオ局で聴取者参加型の意見番組「オープンライン」で長年ホストを務めたボブ・スレードさんが3月23日、マンハッタン区内の病院で腎臓病の合併症のため亡くなっていたことが分かった。70歳だった。ニューヨークタイムズなどが8日、報じた。
スレードさんは1948年、マンハッタン区ハーレム生まれ。クイーンズカレッジで演劇を学んだ。ロングアイランドなどのラジオ局を経て75年、リズム・アンド・ブルース専門局、WRKS(通称「キスFM」、後にWBLSと合併)のニュースディレクターに就任。ホストとして週末のニュース番組を担当した。89年、 政治や社会問題において主要メディアが取り上げなかった「黒人の声」を紹介する「オープンライン」を開始した。
 同年、セントラルパークをジョギング中の白人女性がレイプされ重傷を負った事件が起き、黒人とラテン系の若者5人が逮捕された際には、DNA証拠が逮捕と矛盾すると指摘。検察側の主張にいち早く疑問を呈し、検察発表に「迎合」する他の報道機関を批判した。5人は冤罪と判明し、2012年に釈放された。
 スレードさんは当時、ニューヨーク・デイリー・ニュースに「逮捕されたのが黒人やヒスパニックだったから擁護したのではない。人種は関係なく、真実こそが重要」と話していた。

ボブ・スレードさん。WBLSの公式ウェブサイトより