米ニューヨーク在住の日本人美術家カオルコさんが、現地のチェルシー地区にある「マイク・ワイス・ギャラリー」で開いた個展を成功させた。日本を離れて2年余り。作品がギャラリーガイド誌の表紙に採用されるなど、新進作家として注目されている。
においをテーマにした連作「アロマ・シリーズ」を中心にした個展のタイトルは「AROMAKO」。下着姿でくつろぐ女性が、別の女性の髪や足、脇の下に鼻を近づけている。
カオルコさんは1980年代、アイドル歌手の新井薫子として人気を集めた。生身の女性が放つ体臭を前面に出したのは、〝つくられた偶像〟だった自身を含めた「女性の商品化」への異議申し立てとも読み取れる。大型のアクリル画に描いた女性の肌が白く、背景の色にグラデーションを付けたのは浮世絵の影響。明治・大正期の着物の文様をコラージュして日本の文化を反映させた。
「目に見えない女性の本質を表現したかった」と語るカオルコさん。あまり芳しくない体臭が、その女性を愛する男性にとっては好ましい香りとなる「価値の反転」も絵に託した。