不安・鬱をアプリで解消 精神医学研究を基に開発進む

  ユーザーを不安や鬱などの心理状態から解放することを目的とする新たなプログラムが、スマートフォンのアプリケーションとして開発されていることがこのほ ど、明らかとなった。近年、研究の進むビデオゲーム形式の訓練プログラムを携帯電話で使用することにより、通学や通勤、商談の前などの精神的緊張の緩和に 効果を発揮することを目的としたもの。

同研究の基本となるメソッドは認知偏向修正法(Cognitive Bias Modification:CBM)と呼ばれ、脳の持つ悪習慣を打開することを目的としている。CBMでは、人前で異常に緊張する、常に不安にかられるな どの症状を持つ人は、周囲の人の表情のうち友好的なものを無視し、敵対的なもののみを取り込んでしまう傾向があると認識。その習慣を除去することで、症状 が緩和されるとしている。

現在開発の進むスマートフォン用アプリケーションでは、友好的および敵対的な2つの表情が画面に現れ、敵対的な表情から視線をそらすようボタン操作を行うというもの。繰り返し短時間の訓練を行うことにより、包括的な精神コントロールが可能になるという。

サンディエゴ州立大学精神科医のナデール・アミール氏によると、同プログラムをパソコン上で行う実験を2週間に30分間、4〜6週間実施した結果、対象者の症状が緩和したとのこと。

コロンビア大学の精神科医であるアンドリュー・ガーバー博士は、「アプリケーションを使うことで、堅いイメージがあるこれまでの〝セラピー〟の概念を覆し、多くの人が気軽に利用できるシステムにしたい」と話す。