マンハッタン区ペンステーションの改修工事が17日、始まった。ニューヨーク都市交通局(MTA)が「一世一代のプロジェクト」と称する大改修とあり、広くて使いやすい駅の誕生に期待が高まる。一方で通勤客が慣れ親しんだ風景もなくなりそうだ。混雑する駅の「オアシス」と呼ばれた飲食店「トラックス・ロー・バー&グリル」が8月末に閉店する。ウォール・ストリート・ジャーナルが13日、報じた。
同店は生ガキなどのシーフードとビールに定評があり、肉体労働者からエグゼクティブまで誰でも入れる店として人気だった。常連客の1人、ジェラード・ボウチャーさん(28)は同紙の取材に「電車はいつも遅れる。そんなときはいつもこの店で飲んだものだ」と話した。
同紙によると同店は2003年にオープン。壁は電車の記念品で飾られ、天井にはロングアイランド鉄道(LIRR)の全線の絵が描かれている。同店の共同経営者、ブルース・コールフィールドさん(64)は同紙の取材に「美しく生まれ変わるペンステーションで営業していたかった」と肩を落とした。25人の従業員はもはや家族同然だといい、閉店後の将来を案じた。
改修工事は総額6億ドル(約651億円)をかけ、LIRRの通路を拡張し天井を高くする他、新しい出入り口を設け、掲示板や照明も一新する。駅の完工は2020年を予定し、LIRRのシステム改良は22年に完了する予定。