1980年代のミュージカル映画「フェーム」の舞台となったマンハッタン区アッパーウエストサイドの芸術専門学校、フィオレロ・ラガーディア音楽・芸術・演劇高校校長のリサ・マーズ氏が辞任の意向を示している。「学業を優先し芸術を軽視している」と生徒や教員らからの抗議を受けたためだ。ウォール・ストリート・ジャーナルが24日、報じた。
同紙によると、同校での学業と芸術のバランスについての議論は、マーズ氏が就任する2013年以前から続いていた。マーズ氏の下では、学業成績の良い生徒に大学レベルの上級クラスを受けるよう要請。芸術系クラスの一部を廃止し、リハーサル時間も削減するなど、芸術よりも学業を優先する傾向が目立っていた。
入学選考においても、教員らに発言権はほとんどなく学業成績を重視。音楽性に優れた受験生が、中学での成績を基に不合格となったこともあった。
今年春に実施された教員組合の調査では、回答者の88%がマーズ氏への不信任を表明。先月には芸術教育に焦点を当て、入学選考で芸術的才能を重視するよう訴える生徒による座り込みデモが行われた。24日にリンカーンセンターで行われた卒業式では、卒業生の一部がマーズ氏に背を向けることや握手を拒むことなどを予告。マーズ氏は式に出席しなかった。
マーズ氏は今夏からニューヨーク市教育局本部にある最高教育責任者室の相談役に就任するという。