ニューヨーク市捜査局が26日に発表した報告書によると、過去5年のうちに提出された、偏見に基づいた市警察(NYPD)の不当行為に対する苦情約2500件のうち、正式に苦情と認められたものは1件もなかったことが分かった。捜査が適切に行われずに処理されたものもあり、報告書は「NYPDは警官の偏見に対する苦情に、他の不正行為への苦情ほど深刻に対応していない」と結論付けている。
NYPDが長年行ってきた職務質問法「ストップ・アンド・フリスク」が連邦裁判所で違憲と判断されたことで、渦中にあったNYPDは2014年、人種差別的な取り締まりや逮捕、LGBTQへの心ない言葉など、人種や民族、性的指向などの偏見に基づく不当な扱いを警官から受けた市民の専用苦情の受け付けを開始。調査の上、適切に処理するとしていた。
報告書によるとこれまで2495件の苦情があったが、ほとんどが「根拠のない申し立て」として処理され、関係者への事情聴取さえ行われなかったケースもあった。報告書は警官への訓練の改良、偏見に対する苦情の捜査方法の見直しなどを推奨。また「偏見」の解釈を再定義すること、同僚の偏見に基づいた行為についての報告義務付けなどを提案している。