警察の拘置下にあった女性(28)が手足を拘束された状態で出産を強いられたのは人権侵害に当たるとして、ニューヨーク市警察(NYPD)などに損害賠償などを求めていた裁判で、NYPDは今月初め、女性に61万ドル(約6620万円)を支払うことに合意し、規則を改正することを決めた。ニューヨークタイムズが3日、報じた。
記事によると、ブロンクス区に住むこの女性は昨年2月、妊娠40週目で子どもの親権争いを巡る違反で逮捕された。数時間後に陣痛を起こし、拘束状態のままモンテフィオーリ・メディカル・センターに運ばれた。母子に危険を及ぼす可能性があるとして、医師は警官に拘束具を外すよう訴えたが、女性は足かせと片手に手錠を装着したまま分娩。約8ポンド(約3630グラム)の女児を出産した。
ニューヨーク州法では、妊娠している拘留者や受刑囚の陣痛および出産時に、手錠や足かせなどの拘束具を使用することを禁じている。しかしNYPDのパトロールガイドでは、これが認められている。
同紙によると女性は非人道的な扱いと州法違反により、市およびNYPD、現場にいた警官を相手取り提訴した。市は不正行為について否定したが、慰謝料の支払いに合意。NYPDは、パトロールガイドにおける妊婦の取り扱い項目の改正を決定したという。
同紙によると、全米の多くの州では妊婦に拘束具を使用することが認められている。ただし、これを禁止する動きが進んでいるという。