ニューヨーク市住宅局(NYCHA)が新たに建設した低所得者向け住宅の入居申し込みの抽選で地元住民を優先する市の方針は、人種隔離を促進するという。クーンズカレッジのアンドリュー・ビバリッジ教授が抽選データを分析し、報告書を15日に発表した。
ビバリッジ教授は2012年8月から17年2月までの間に、市内1万245戸の低所得者向け住宅の抽選に申し込んだ720万人以上のデータを調査。168回の抽選と申請者の情報を、低所得者向け住宅が建つ地域の国勢調査データと比較して分析した。
市はNYCHAの新築の低所得者向け住宅の半数の世帯に、既にその地域に住む住人を優先して入居させる方針を取る。報告書はこの方針が、地元の多数派民族に有利に働くと分析。入居者の確定は先着順のため、地元の希望者が先に部屋を確保することで他地域からの希望者が入居できないケースも散見した。こうしたことにより人種隔離が助長され、その地域の人種および所得構成を継続させると結論付けた。
16日付ニューヨークタイムズによると、報告書について市側は、抽選で最も恩恵を受けるのは黒人およびヒスパニックであり、同方針は立ち退きを懸念する地元住民を配慮した対応だと主張。分析は特定グループのみを基準とし、不適切だと訴えた。方針の廃止や地元住民優遇の割合を引き下げる予定はないという。