フードバンクにあふれる食料品 貿易戦争のあおり、うれしい悲鳴

 トランプ政権下でエスカレートする貿易戦争。その影響はニューヨーク州内にも及んでいる。ウォール・ストリート・ジャーナルは13日、貿易戦争のあおりを受けて、食料品であふれる州内のフードバンクの実態をレポートした。
 トランプ政権が中国や欧州連合(EU)、カナダ、メキシコなどの製品に関税を強化したのに対抗し、これら国も米国産の農産物や食料品への関税を強化。米国の輸出品の中でも食料品は重要な位置を占めることから、米農務省(USDA)は昨年、生産者支援を目的に、農産物や加工食品を買い取り、各州を通じてフードバンクに配給する仕組みを作った。フードバンクとは、低所得者や失業者、18歳以下の子ども、ホームレスなど社会的弱者に食料を分配する非営利団体。
 ニューヨーク州シラキュース市などを管轄するフードバンク・オブ・セントラル・ニューヨークは昨年度、3500万ポンドの食料品を受け取ったが、今年度は4400万ポンド(約1640万キログラム)に増加。7万5000平方フィートの倉庫には食料品が満載だ。責任者のキャサリーン・ストレスさんは、「受け入れ施設には限界がある」と悲鳴を上げながらも歓迎。配送機能も強化したという。
 フードバンク・フォー・ニューヨークシティは、ブロンクス区内にある9万平方フィートの倉庫に1540万ポンドの食料品を配給された。同団体のCEO、マーガレッテ・パービスさんは「こんなことは滅多にない。貴重な体験」と話した。