ブルックリン区コニーアイランドの交差点で今月11日、赤信号を無視した車が起こした交通事故に巻き込まれ、自転車に乗っていたスペイン国籍のホゼ・アルゾリズさん(52)が死亡した。ニューヨーク市内で車との事故により死亡したサイクリストはアルゾリズさんで19人目。車の運転手が刑事責任に問われることは少なく、法がドライバーに甘すぎるのではないかとの議論を呼んでいる。ニューヨークタイムズが21日、報じた。
現場を捉えた映像によると、赤信号を無視し猛スピードで走ってきた乗用車が、交差点に直進してきたワゴン車の左側に衝突。ワゴン車は交差点の反対側まで投げ出され、自転車に乗り信号待ちをしていたアルゾリズさんにぶつかった。同紙によるとアルゾリズさんは即死。信号を無視した乗用車に乗っていたミルザ・ベイグ被告(18)は21日になり、過失致死などの罪で起訴された。被告は時速61マイル(約98キロ)で走っていたという。
自転車擁護団体によると市では、飲酒運転や故意に起こした事故などでない限り、死亡事故を起こしたドライバーのほとんどは刑事責任に問われず、信号無視が無謀運転とみなされることもまれだという。同区南部選出のアンドリュー・グナルドス議員は「市では長年、運転がいかに無謀、危険、有害であれ、ほとんどの運転手は処分されず、運転を続けている」と非難。ベイグ被告の実刑を求めた。
一方で、一部の弁護士は犯意がなければ過失事故であり、刑事責任は生じないと反論。ベイグ被告の弁護士も「起訴は不適切」と主張した。