最低賃金の半分、時間外手当なし  クリーニング店で労使間の軋轢深まる

 ニューヨーク市内のクリーニング店で労使間の軋轢が深まっている。市内のクリーニング店の大多数は中国系や韓国系が経営し、従業員はヒスパニック系の不法移民が多い。中には劣悪な条件で働かされているとして、移民擁護団体が加わり訴訟に発展した例も少なくない。ニューヨークタイムズが23日、報じた。
 メキシコ系の不法移民、リカルダさん(44)が働いているのは、中国系移民のファンシン・チェンさんが経営するブルックリン区ベイリッジのクリーニング店だ。リカルダさんによると、時給は市が定める最低賃金の半分以下。週に72時間働き時間外手当もない。待遇は過去15年間変わらないという。「病気になっても休めない。換気扇をつけてと言っても無視される」と訴える。ついに今年2月、支援者が詰め寄り待遇改善を求めて「団体交渉」に発展した。
 これに対し、チェンさんはリカルダさん側の訴えを「根も葉もないこと」と否定。2009年に前店主から事業を引き継いだというチェンさんは、「賃金を上げれば労働時間を減らさざるを得ない」と苦しい胸の内を明かす。
 非営利のランドリー店労働者支援団体ランドリー・ワーカーズ・センターは2016年、市内100のランドリー店の従業員に聞き取り調査を実施。それによると、5人に1人が最低賃金以下で働き、36%は時間外手当を支給されていなかった。同団体のマホマ・ロペスさんは同紙に、労使ともに移民で英語が不得意なため意思疎通が難しく、問題解決を困難にしていると話した。