ニューヨーク市警察(NYPD)が4日発表した統計によると、今年の犯罪発生件数は全体では減っているものの、発砲事件は増加した。ギャング抗争や違法薬物の取引が主な原因だという。ウォール・ストリート・ジャーナルなどが同日、報じた。
報道されたデータによると、今年に入ってから9月1日までの発砲事件は、市内全体で540件。昨年同期の502件に比べ7.6%増えた。8月に限ると、91件の発砲事件が発生。昨年同月の76件に比べ、およそ20%増加した。
NYPDは原因として、地域または建物を拠点とした比較的小規模のギャングによる抗争に言及。SNSが発端となった抗争もあったという。この傾向が強かったのはブルックリン区イーストニューヨークを含む第75分署。昨年同期の21件から倍増の42件の発砲事件が報告された。モナハン警察長はマンハッタン区ローワーマンハッタンのNYPD本部で開いた会見で「(この地域には)解決が難しいギャング関連問題が根強く残る」と指摘した。
クイーンズ区北部の3分署では、今年に入って9月1日までに発砲事件が19件発生。昨年同期の合計2件に比べ激増した。ギャング関連の事件は少なく、家庭内の争いやバーでのトラブルなどが原因だという。
犯罪全体の発生件数は、ここ数十年で最低水準。今年の殺人事件は205件で、昨年の213件に比べて4.2%少ない。強盗やレイプ、重暴行などの凶悪犯罪は合計で3.7%減った。
一方で、モナハン警察長は、保釈金を支払えないという理由で勾留されている被告らを保釈する保釈制度改革の施行が来年に迫ることに焦点を絞る。発砲事件の多くは改革の対象となる軽犯罪に関連しているといい、モナハン警察長は「銃犯罪の取り締まりは強い逆風に遭う」と懸念を示した。