9.11同時多発テロの慰霊地「9/11メモリアルプラザ」に残される記念品は、18年前のこの日亡くなった2977人を追悼する貴重な「証し」として「9/11メモリアル博物館」が収集し、大切に保管している。記念品にまつわるエピソードを、ニューヨークタイムズが9日、報じた。
同博物館のジャン・ラミレス主席学芸員は「設立当初から、毎晩、収集することが決まっていた」と説明する。飲食物や花を除き、写真や手紙、国旗などは、博物館がキャビネットに納めた後、箱に詰め替えてニュージャージー州のジャージーシティーなどにある専用倉庫に移す。封緘された手紙を開けることはない。
ウェレス・クロウザーさん=当時(24)=に捧げられた赤いバンダナはこれまでに48枚以上。ハンカチでマスクをして、他の人がビルから脱出するのを助けたからだ。北棟に突入したアメリカン航空11便の客室乗務員、ベテイ・オングさん=当時(45)=にはバンブルビー(マルハナバチ)のぬいぐるみが集まる。あだ名が「ビー」だったからだ。オングさんは同便がハイジャックされた直後、地上係員に緊急事態を報告していた。
そうした記念品の中から今までに312点が博物館の収集品となり展示された。マーサ・ヘール・ファーレルさんが8年前に残した、妹のマイレ・レイチェル・ヘールさん=当時(26)=のバレエシューズもその1つ。友人がそれを見つけて、泣き崩れたという。「あの日、どんなに美しいものが失われたか。その重みを知ってもらえる」とファーレルさんは話した。