9.11同時多発テロの犠牲者を追悼するために、9月11日の日没から翌日12日の日の出まで、マンハッタン区ローワーマンハッタンの世界貿易センター跡地(グラウンドゼロ)付近から放たれる光のインスタレーション、「トリビュート・イン・ライト」により毎年、約16万羽の混乱した渡り鳥が、昆虫やコウモリなどと共に光に引き寄せられ、危険な状態にさらされている。ニューヨークタイムズが9日、報じた。
コーネル大学鳥類学研究室が2008年から16年の9月11日に実施した調査によると、光が鳥を引きつける力は通常の150倍を記録、110万羽の鳥の移動に影響を与えているという。光に誘われ本来のルートを逸れることによる飢えやけがなど生命が脅かされる他、光に向かって飛ぶことで渡り鳥は脂肪を過度に消費し、移動のために蓄えたエネルギーが不足することにもなる。
「渡り鳥救出作戦」も講じられている。鳥類の専門家や生態学者で構成するボランティアは05年以降、追悼式の主催者と協力。当日、日が沈み、光が肉眼で見えるようになると、追悼式に招待された9.11のファーストレスポンダーや生存者、被害者の遺族らと共に近くの駐車場の屋上に上がり、光に囚われた鳥の数を数える。鳥の数が約1000羽に達すると、光を20分間消し、鳥が離れるのを待つ。20分間の消灯は、渡り鳥が移動を再開するのに十分な長さだという。